日系企業のベトナム進出が相次ぐ中、日系企業のベトナム人と日本人の採用需要も増えている。こうした人材を採用したい企業と企業に勤めたい人材を繋ぐのが、人材紹介会社の役目だ。
今回、ベトナムの人材紹介会社に勤める人材コンサルタントの3人にお集まりいただき、第1回VIETJO覆面座談会をホーチミン市某所で開催した。前編では、「ここがもったいないよ日系企業」をテーマに、企業と候補者の間に立つからこそ感じる人材紹介会社の本音、そしてベストな「人材紹介会社の使い方」について語ってもらった。
<語り手>
Aさん 人材紹介会社勤務 40代
Bさん 人材紹介会社勤務 30代
Cさん 人材紹介会社勤務 20代
【日系企業は「採用力」が弱い!】
―――外資系企業は「その候補者が企業にとってどれだけ必要なのか」を伝えて候補者を口説く一方、日系企業はアピール力が弱く仕事内容も不明確で、ベトナム人に対して「上から目線」のケースも少なくない。人材紹介会社から見て、どういった面接や採用が理想的なのだろうか。
A:日系企業で特徴的なのは、雇用側とのランクを感じる「雇ってやるぞ感」ですかね!
B:あるある!候補者に対してあからさまに「うちに入りたいんだろう」という態度を取りますよね。
A:しかも、ベトナム人スタッフに対して基本的に高い給料は払わない!
C:日系企業の方と求人の話をしていて思うことは、「仕事内容が不明確なこと」ですね。
A:こちらも明確にできていない責任はありますが、多いですね。
C:これはおそらく日本の「総合職」の考え方なのだと思います。何でもやってねと。ただベトナムでこの考え方は通用しません。
B:とても分かります!「ここがもったいないよ日系企業」というテーマを聞いた時に思い浮かんだのは、日系企業が「うちの会社で何をやりたいのか不明確」という理由で候補者を落とすことです。それは日本人面接には合っているのかもしれませんが、ベトナム人は違う。将来のことより、ベトナム人は「いま」を生きています。そこへの集中力は日本人よりすごい。ベトナム人の面接では、日本人以上に過去と今を深掘りしたほうが良いんですよね。
A:いい人材を紹介しても、希望人材との目線合わせができていても、その理由で落とされるとガクッとくる。
C:ある企業の面接が上手いんですよ。面接で聞くことをリストにしています。幼少期のこと、両親のことなどしっかりと過去から遡って対話をしている。それらを雑談の中に組み入れていて、最終的にすべてを網羅する形になっています。
B:それは良い!デキる営業マンの形ですよね。
C:しかも、聞く内容が整えられているので評価しやすいんです。