
「決定書を受け取り、自分の名前と『委員長』という肩書きが並んで書かれているのを見て、思わず笑ってしまいました。『委員長』というと誰もが富や権力を連想しますが、私みたいな委員長には誰もなりたがらないでしょう」とスオンさんは笑う。
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スオンさんはダナングラブ配車アプリ運転手労働組合の委員長の職に加え、運転手仲間たちの推薦でダナン配車アプリ運転手協会の会長にも選出された。「委員長」と「会長」の肩書きがありながらも、スオンさんは今もなお毎日市内のあちこちを走り回り、商品や乗客を目的地まで送り届けている。
配車アプリの運転手は、風雨や日差し、土埃の中で働かなければならない過酷な仕事だが、収入は食費やガソリン代を除くと月に1400万~1500万VND(約7万6500円~8万2000円)ほどにしかならない。さらに、運転手は常に事故や受け取り拒否、支払い拒否のリスクにさらされている。
「私たち運転手の集まりはまさに『共に苦しむ人々の集まり』です。労働組合ができたことで、皆で声を上げてお互いを守れるようになりました。トラブルの解決を手伝ったり、仲間の家族が困っている時にはお金を出し合ったりして助け合っています。私自身もお客さんに支払いを拒否されたり、商品の受け取りを拒否されたりというケースに何度も遭遇してきました。以前は自分で損失を被っていましたが、今はグラブの方針が変わり、多くのサポートを受けることができるようになりました」とスオンさんは語る。
データによると、ダナン市には現在、約1万6000人の非公式部門で働く労働者がおり、このうち数千人が配車アプリの運転手だという。スオンさんが委員長を務めるダナングラブ配車アプリ運転手労働組合には約300~400人のドライバーが加入しており、互いにつながり、リスクを回避するために専門的なスキルを共有している。
スオンさんは、当局や配送会社との会合にも運転手仲間を代表して参加し、運転手の権利向上に向けた提言を行ってきた。
「会議には必ずダナン市労働連盟と、労働組合執行委員の代表者が同席します。以前は代表組織がなかったので提言もなされませんでしたが、今は政府の支援もあり、発言力が増しました。運転手を雇用する企業は、提言に耳を傾けなければなりません。そうでなければ、私たちは関連当局に支援を要請します」とスオンさんは力を込めて語った。