
ボー・ティ・トゥー・スオンさん(女性・68歳)は、南中部沿岸地方ダナン市の中心部で、シンガポール系配車アプリ大手グラブ(Grab)のバイクタクシーの運転手をしている。彼女は労働組合関係者の間ではよく知られた存在で、ダナン市の配車アプリの運転手たちのリーダー的存在でもある。最近、ダナングラブ配車アプリ運転手労働組合の委員長に選出された。
![]() (C) tuoitre |
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スオンさんはふくよかな体格で、68歳になっても若者のように活発だ。自分と同じように年配の女性で配車アプリの運転手をしている人は他にもいるのかと尋ねられると、スオンさんは「配車アプリの運転手をしている女性はたくさんいますが、白髪まじりの年配で、それも労働組合の委員長を務めている女性なんて私だけですよ」と笑って答えた。
スオンさんがグラブの運転手になる前はホーチミン市の病院で働いていたことを知る人はほとんどいない。ダナン市出身の彼女は学業と仕事のためにホーチミン市に移り、市内の病院で調剤補助員として長年勤務していたが、医療施設の組織改編により職を失った。
2003年に病院を退職した後、スオンさんは野菜や果物の露天商として働き、生計を立てようとしたものの、家族を養うには稼ぎが不十分だった。そして2017年、新たな仕事を探すため、故郷のダナン市に戻った。
故郷に戻ると様々な仕事に挑戦したが、満足のいくものはなく、収入も少なかった。ちょうどその頃、グラブがダナン市でサービスを拡大しており、緑色のユニフォームを着た運転手たちが道路を行き交う様子を見て、スオンさんは運転手の仕事に応募することを思いついた。
2017年初頭のある日、スオンさんはレズアン通りにあるグラブのオフィスを訪ね、運転手に応募したい意思を伝えた。しかし、朝から晩まで外を走り回る過酷な労働は年配の女性には合わないと、多くの人はスオンさんの意思に疑念を抱いたという。
「何度も足を運んで、働きたいこと、体力は十分にあること、ダナン市の道路や路地に詳しいことを繰り返し伝えました。ようやく信じてもらい、採用されてから今日までずっと続けています」とスオンさんは振り返る。
この7年間、ダナン市内でスクーターを機敏に走らせるスオンさんの姿は、多くの運転手仲間にとってすっかり見慣れた存在となった。また、頻繁にオンラインショッピングを利用する常連客とも顔なじみになった。
スオンさんがグラブの運転手の仕事を始めたばかりの頃は、仕事に慣れず、戸惑いがあったという。しかしすぐに慣れ、今では毎日忙しく走り回っている。運転手は大変な仕事で危険も伴うが、それでもスアンさんは情熱を持ってこの仕事に取り組んでいる。