ベトナムのカフェチェーン「フックロン(Phuc Long)」は、今やホーチミン市とハノイ市を中心に全国展開する大手チェーンとなっているが、ブランドの物語は1968年、1台の荷車から始まる。
(C) toquoc |
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「フックロン」ブランドの創業者であるラム・ボイ・ミン氏(男性・77歳)は1968年、貨物輸送業者で働き始めた。終業後は、ホーチミン市5区のトンドックフオン通り(現在のチャウバンリエム通り)の角に荷車を停め、コーヒー豆や茶葉を販売した。
1975年、ミン氏は同市のレバンシー通り307番地に店を開いた。ここではコーヒーや茶をいれる商品に加えて、コーヒーのドリンクも販売した。数年後には同じレバンシー通りの別の場所に店を移転し、10年余り営業した。
ミン氏はオーナーであると同時に従業員でもあり、原料の仕入れから焙煎、配達まで担っていた。ホーチミン市の照りつける太陽の下、ミン氏は毎日荷車を漕いで商品を仕入れ、市内のあちこちに配達した。
1980年、ミン氏はマックティブオイ通り63番地にも店を出し、マシンでいれたコーヒーを販売する形で、ビジネスモデルを一新することにした。店の広さはわずか9m2だったが、この店こそ、フックロンが食品・飲料(F&B)業界に進出していくためのマイルストーンとなった。