ザンさんはメイクも自分でやる。アイシャドウパレットの枠に触れて色を判断し、ブラシを使ってパウダーを優しく拾い上げ、まぶたに均等に塗り広げる。そして自分で服を着替え、ハイヒールを履いて、優雅に、そしてしっかりと歩く。準備が終わると、監督の合図で収録が始まる。
(C) vnexpress |
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「ある時、観覧者の1人が私のところに来て感謝を伝えてくれました。彼女には障がいを持つ子供がいて、子供の将来は真っ暗だろうと思っていたそうです。でも、私について書かれた記事を読んで、私の出ている番組を観て、私がフェイスブック(Facebook)でシェアした投稿を見て、障がいを持っていても学校に通うことができ、仕事をすることができるのだとわかり、子供の将来が思い描けるようになったのだそうです。それで、彼女は悲嘆に暮れる代わりに、子供がより社会生活に近づけるよう、計画を立て始めたようです」とザンさんは教えてくれた。
ザンさんのおかげで、障がい者コミュニティの多くの人が外に出て、より適切なサポートを受けられるようになってきた。また、彼女のおかげで多くの人が障がい者の声に耳を傾けるようになり、障がい者が信頼を得て、挑戦の機会を与えられることも増えた。ザンさんをテレビで観ると喜びに満ちた1日の始まりになる、という視聴者からの手紙が放送局に届いた時、ザンさんの人生はさらに意味のあるものになった。
ザンさんは司会者である一方で、心理学者としての顔も持っている。彼女は現在、臨床心理学の修士課程に在籍しているほか、カウンセラーとしても働き、心に問題を抱える人々のサポートをしている。たくさんの人がザンさんに助けを求めてメールを送ってくる。ザンさんは届いたメールを1通1通丹念に読み、助けを必要としている人たちに丁寧に返信する。
「私の使命は、周りの人々が、自分の望む人生を送れるようサポートすることです。誰もがそれぞれ痛みや苦しみを抱えていますが、私の専門分野や前向きなエネルギーによって、皆が自信を持って、強い心で障壁を乗り越え、幸せな人生を送れるようサポートしていきたいんです」とザンさんは語る。
ザンさんいわく、人生とは苦しみの連続であり、中でも障がいを持つ人たちは早くにこの苦しみを経験することになる。それでも、ザンさんは悲しみの暗闇に支配されることなく、自分の力と強さで日々前進し、障壁を乗り越え、幸福に満ちた前向きな人生の新しいページを開いている。ザンさんが今歩んでいる道のりは、ザンさんのような視覚障がい者でも機会さえあれば自分の力を発揮し、良い成果を出せるのだということを証明する過程でもあるのだ。