自信と幸せが暗闇に飲み込まれてしまわないよう、ザンさんは暗闇の中に喜びを見出す方法を学んだ。他の人の助けを待つ代わりに、自分から積極的に周りの人とのつながりを築こうとした。「暗闇は怖くありませんでした。なぜなら、暗闇のおかげで光が見えるから」とザンさん。
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ザンさんは今まで、視覚障がい者であることで後悔したり、劣等感を抱いたり、苦しんだりしたことはないという。「誰もが生まれながらに完全な人間であり、ただ自分が大多数とは違うだけ」という考えで、健常者と同じように生きようとあえて努力することもなく、皆と同じ環境で視覚障がい者として生きることを受け入れてきた。
ザンさんが人生を受け入れようと心を開いたとき、自然と司会者の仕事がザンさんに巡ってきた。ベトナムの声放送局(VOV)でルポルタージュの手伝いを経験した後、編集委員たちはザンさんの訴える力に才能を見出し、番組を任せることにした。ザンさんの初めてのラジオレポートは、彼女が日々の生活をどのように感じ、見ているのかをリスナーに説明する内容だった。「小さな頃から音を通じて人生を視覚化してきたので、ラジオ番組の仕事はそこまで難しくありませんでした」とザンさんは語る。
2017年になると、ベトナム国営テレビ局(VTV)3チャンネル(VTV3)などでの番組を通して、ザンさんがVTVの司会者になる機会が徐々に開かれていった。「ラジオからテレビの仕事に変わることで必要になるスキルも増え、最初の頃はとても大変でした」とザンさんは当時を思い出す。
最初、ザンさんがどのカメラを見ればよいのかわからず困っていたところ、カメラマンたちは手を叩くことでザンさんが見るべきカメラを教える方法を考えついた。このほか、ザンさんはボディランゲージを使うことも困難だった。
課題に直面したザンさんは、スタッフとうまく連携するのと同時に、自分が自立して仕事をする能力があるということを再び証明しなければならなかった。ザンさんはスタジオでうまく立ち回れるよう、ハイヒールを履いて歩く練習、カメラのレンズを見てアイコンタクトを取る練習、聞きやすい発声の練習をしたほか、正しい姿勢が取れるようモデルのスキルを習得するなど、できることから始めていった。
「視覚障がいのない人たちにとってハイヒールを履くことはそれほど大変なことではないと思いますが、私はつま先の小さな部分が地面に触れるだけということに不安を感じていたんです」とザンさん。恐怖を克服するため、ザンさんは「3か月間、毎日2時間」という練習スケジュールを立て、粛々とこなした。徐々にハイヒールを履いて立ったり歩いたりできるようになり、同時に他のスキルも習得していった。