運命の巡り会わせ、ベトナム人とフランス人の2人の母を持つ少女

2018/09/02 05:49 JST配信

 時は流れて2007年11月のある日、アニエスさんは1万km離れたフランスからベトナムへ養子縁組に訪れた。当時50歳だったアニエスさんは、ホーチミン市ゴーバップ区にある児童養護施設の庭で遊ぶ、黒い瞳をした4歳の女の子を見た瞬間に養子にするならこの子しかいないと直感した。この少女こそがビーさんなのだ。

(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 ツーズー産婦人科病院によれば、患者のカルテや書類は保管期限の10年を過ぎると破棄されるため、現在ではビーさんの出生に関する情報は残っていないという。しかし、ビーさんは亡くなるどころか、数回の手術を受けて脳から胸にかけてチューブを埋め込んだ状態ながらも元気に生きていたのだ。

 ビーさんが養子としてアニエスさん一家に迎えられるまでに1年以上かかった。アニエスさん夫妻はビーさんの写真や書類から彼女が病気を患っていることは知っていたが、そんなことは構わなかった。

 その後7年間に、ビーさんは4回の手術を受けた。「私たちはこの先に何が起こるのだろうかとあまり考えないようにしていました。なるようになる、困難が生じてもみんなで全力を出して乗り越えようとだけ考えていたんです」とアニエスさん。

 専門医師によると、水頭症の患者は体内のチューブの詰まりや感染を防ぐために3~4年に一度手術が必要だという。フランスへ渡って数週間後、ビーさんはリール市の病院に入院して古くなったチューブを交換する手術を受けた。ビーさんが顔を左に向けると、首の右側に1本の筋が浮き出るのが分かる。

 「みんな首の筋を見ると血管だと勘違いするんです。チューブだと分かると誰もが驚くんですよ」。そう言ってビーさんは洋服をめくりあげて、腹部にある4つの術痕を見せる。それぞれ2008年、2010年、2013年、そして2014年に手術した時の痕だ。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 00:00 22/8/2018, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 2月中旬のとある日、南中部沿岸地方クアンナム省ヒエップドゥック郡タンアン町にある小さな家で、ファ...
 司法省は24日、国連児童基金(ユニセフ=UNICEF)ベトナム事務所と共催した児童の権利保障と国際養子縁組...
 オーストラリア在住のシャンタル・デエクさん(女性)は今から40年前、米軍の「オペレーション・ベビー...
 ホーチミン市のタンソンニャット空港で7月27日、生き別れになっていた家族が37年ぶりの再会を果たした...

新着ニュース一覧

 在ベトナムヨーロッパ商工会議所(ユーロチャム=EuroCham)はこのほど、「ユーロチャム白書」の2025年版...
 農業環境省は15日、ベトナムを公式訪問していた中国の習近平(シー・ジンピン)総書記 兼 国家主席の立ち...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 大手コーヒーチェーン「ハイランズ・コーヒー(Highlands Coffee)」を運営するハイランズ・コーヒー・サ...
 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を...
 ベトナム祖国戦線幹部育成科学研究センターと地域社会開発研究サポートセンター(CECODES)、国連開発計...
 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した航空宇宙企業ブルー・オリジ...
 ベトナム海軍第4地域海軍第162旅団所属のミサイル護衛艦「HQ-015チャンフンダオ(Tran Hung Dao)」と「H...
 ファム・ミン・チン首相は政府官房で15日、「グリーン成長とグローバル目標のためのパートナーシップサ...
 政府は現在、過去最大規模となる500兆VND(約2兆7600億円)の優遇融資枠の設定を計画している。科学技術...
 政府は13日、民間航空分野における条件付き経営事業に関する政令第92号/2016/ND-CPの一部を改正・補足...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)グループの日本法人FP
 総合物流サービスを手掛ける川西倉庫株式会社(兵庫県神戸市)は、地場物流企業のトアンファット・ロジス...
 国会常務委員会は14日、行政区再編に関する決議第76号/2025/UBTVQH15を採択した。同決議は翌15日に発効...
 チャン・ホン・ミン建設相は、ベトナムを公式訪問していた中国の習近平(シー・ジンピン)総書記 兼 国家...
トップページに戻る