- 科学技術やイノベーションなど直接支援
- 経済成長を下支えする原動力の強化に期待
- 高付加価値かつ知識集約型の産業に重点
政府は現在、過去最大規模となる500兆VND(約2兆7600億円)の優遇融資枠の設定を計画している。科学技術、イノベーション、戦略的インフラといった基盤分野への直接的な支援を通じて、経済成長を下支えする原動力の強化が期待されている。
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今回の融資パッケージは、従来の幅広い業種を対象とした一般的な融資支援とは異なり、ロジスティクス、スマート製造、デジタル技術など、高付加価値かつ知識集約型の産業に重点を置く方針だ。これは、世界的な貿易不確実性の高まりを背景に、内需の拡充によるリスク分散と産業競争力の強化を目的とした重要な政策アプローチだ。
ベトコムバンク[VCB](Vietcombank)、ベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)、ヴィエティンバンク[CTG](VietinBank)といった大手国営銀行は、インフラ分野への融資拡大に向けた態勢をすでに整えている。また、多くの民間銀行も建設資材の供給やインフラ施工などの関連分野への融資を積極的に進めている。
一方、中小企業やスタートアップを中心に、資金調達のハードルは依然として高い。高金利や厳格な審査基準、担保不足に加え、金融リテラシーの乏しさや信用情報の不足が、金融アクセスの障壁となっている。アジア開発銀行(ADB)の専門家は、「融資要件の見直しと金融包摂の拡大が喫緊の課題だ」と強調している。
このため、今回の優遇融資パッケージを実効性のあるものとするには、企業の実情に即した融資条件の整備と、成長段階に応じた柔軟な支援体制の構築が不可欠となる。政府と金融機関の連携を通じて、持続的な経済成長と国際競争力の強化が期待される。