ズンさんはリベンジを誓い、2009年に錦鯉のオークションに参加するため再び日本を訪れた。ズンさんは色も模様も完璧な錦鯉を落札し、ビジネス界が憧れる錦鯉のオーナーとなった。このオークションを機に、ベトナム産の錦鯉が国際的に知られるようになった。
(C) Bao Dau Tu, Gia Huy, ズンさん |
「ベトナムは錦鯉の養殖に適していますが、投資額とリスクは高く、認知度は低いこのビジネスに手をつけようとする人はなかなかいません。一方、日本は錦鯉を国魚に選びました。なぜ、ベトナム産錦鯉の商標がないのでしょう」とズンさんは語る。
2015年、ズンさんの錦鯉はベトナムのゴールドブランドに認定された。ズンさんは現在2つの大きな養殖池を所有しており、その価値は数百億VND(約100億VND=約4930万円)に上る。そして彼は、ベトナム産錦鯉の国際的なゴールドブランドを確立すべく、努力を続けている。
「私の錦鯉はまだ輸出できていないので、収益は上がっていません。 輸出するためには、品質から免疫力まで厳しい審査を通過しないといけないのです。このプロセスを完了するために4年はかかります。私の会社は2016年末にこの審査を通過し、輸出できるようになる見込みです。このために500億VND(約2億4600万円)を投資しました」とズンさんは説明した。
彼の話を聞いていると、彼が現在病と闘っているとは誰も思わないだろう。「私はまだ逝くわけにはいきません。ベトナムの鯉を海外に輸出するという熱い思いが、1年後にようやく実現するのですから」。ズンさんは、病床に伏しながらも嬉しそうに笑顔で語った。