「2年以上も待ち望んだ妊娠だったので、私も夫もそうする気にはなれませんでした。子どもは多ければ多いほど嬉しいと話し合い、頑張ることにしたのです。・・・まさか5つ子だとは思いもしませんでしたが」。トゥーさんはそう語る。
(C) dantri, 5つ子ちゃん |
(C) dantri, トゥーさん |
(C) dantri, 義母キムさんと5つ子ちゃん |
(C) dantri, 5人の食事には近所の人の手も借りる |
トゥーさんは、他の妊婦と同様、妊娠初期にはつわりがひどく食べたり飲んだりするのも困難だったという。出産間近になるとお腹は太鼓のようにものすごく大きくなり、歩くのも困難で、横になっているだけでも疲れるほどだった。
母子の安全を確保するため、医師が危険な徴候を事前に予測できるよう妊娠33週から同市1区にあるツーズー産婦人科病院に入院したトゥーさん。母親の子どもたちに対する愛情と、医師チームのサポートのおかげで、ベトナム初の5つ子は無事に帝王切開によって誕生した。
5人の子どもを同時に育てるのは簡単なことではない。最初の1か月は、毎日午後になると病院から看護師が派遣され、沐浴の補助をしてくれた。新生児の沐浴は経験を要するため、5人を一緒に入れるのは無理があるからだ。その後はトゥーさんと義母が交代で1人ずつ風呂に入れていった。
「思い起こすと、生まれて間もない頃は私も義母も明らかに体重が落ちました。毎晩、子どもたちを交代でみなければならないので、2~3時間しか眠れなかったのです。子どもたちが泣く声を聞いては飛び起きてミルクを作っていました」。
5人の子どもの世話は、とにかく目が回らんばかりだった。毎日、夜が明ける頃から起きてミルクを作り、おむつを替え、洗濯をし、授乳をして寝かしつけ、食事の準備をし、子どもたちの様子を見守り・・・これが昼夜問わず続くのだ。それでも子どもたちへの果てしない愛情が、母と祖母の疲れを吹き飛ばし、2人を幸福な気持ちにさせた。