ホーチミン市の通りには、数多くの交差点が存在している。チュオンチョー五叉路(Ngã năm Chuồng Chó)、ハンサイン交差点(Ngã tư Hàng Xanh)、バイヒエン交差点(Ngã tư Bảy Hiền)など、同市の人々が何世代にもわたり親しんできたこれらの名前は、昔の人物や物の名前に由来している。
(C) vnexpress, 現在のチュオンチョー五叉路 |
(C) vnexpress, 1961年(上)と現在(下)のハンサイン交差点 |
(C) vnexpress, 1975年以前のバイヒエン交差点 |
チュオンチョー五叉路(Ngã năm Chuồng Chó)
ゴーバップ区3街区にあるこの大きな交差点は、「ゴーバップ六叉路(Ngã Sáu Gò Vấp)」とも呼ばれている。ここはグエンキエム(Nguyễn Kiệm)通り、グエンオアイン(Nguyễn Oanh)通り、クアンチュン(Quang Trung)通り、ファムグーラオ(Phạm Ngũ Lão)通り、グエンバンギー(Nguyễn Văn Nghi)通り、チャンティギー(Trần Thị Nghĩ)通りが交わる地点だ。
フランス統治時代、5本の道が交差する場所に大きなディエップの木(cây điệp、黄色い美しい花を咲かせるマメ科の木)が植えられていたため、この交差点は「ハンディエップ五叉路(Ngã năm Hàng Điệp)」と呼ばれていた。1954年以降、旧政権がここに軍用犬訓練校を建設してから、同市の人々はこの交差点を「チュオンチョー(犬小屋)五叉路」と呼ぶようになった。
この学校は1966年に規模を拡大して訓練及び軍用犬補給センターとなり、米国の訓練技術が取り入れられた。軍用犬たちはパトロールにも役立つよう、遠くから匂いを嗅ぎ分ける訓練も行っていた。東南アジアの全ての米軍基地で、この訓練センターで訓練された軍用犬が活用された時期もある。
オンタ三叉路(Ngã ba Ông Tạ)
この交差点は、タンビン区5街区のカックマンタンタム(8月革命=Cách Mạng Tháng Tám)通りとファムバンハイ(Phạm Văn Hai)通りが交差する地点で、1940年代から形成され今日に至る。オンタ交差点付近に古くから住んでいる住民の多くが北部出身で、そのほとんどがカトリック教徒だ。
この地域は、住民が「オンタ(感謝している先生)」と呼んでいる名医グエン・バン・ビー氏の診療所があることで有名だった。ビー医師は山岳地域で得た知識から、特に子供と女性に薬草を使って治療にあたっていた。
噂を聞きつけて、ビー医師の診療所に来る病人は日に日に増えていった。更に、多くの医師もここに集まるようになり、診療所と薬草販売店が密集する場所となった。ビー医師は良医であっただけでなく、とても親切で、周辺の貧しい人々を進んで助けていた。