ビンズオン省の木靴職人、工業化の影で消え行く伝統工芸を守って

2014/10/19 06:00 JST配信

 しかし近年、長きにわたり受け継がれてきた木靴作りの伝統が危機にさらされている。ソムグオック通りでもフンさんのような職人は減りつつあるという。木靴作りだけでは生活を維持していくことが困難だからだ。ほとんどの工房は家族経営で、代々続いてきた伝統を継承している。

(C) baohaiquan
(C) baohaiquan

 この地にある木靴工房の中で、一番のベテランはサウ・デオさん一家だ。一家の手だけでは足りず、更に人を雇っている。デオさんは60歳近い。一家が工房を始めてから40年、ただひたすら木靴だけを作り続けてきたという。

 デオさんは、「以前は前の通りもずいぶんにぎやかだったものさ。父と夫の工房にも100人ほどの職人がいて、1日中木靴を作っていた。納期に間に合わせるために、ランプの明かりで夜通し作ったこともあったね。木靴作りは一時期、かなり盛んだった。私たち夫婦が家を持ち、子供を育ててこられたのも、全て木靴作りのおかげさ。今はもう寂れてしまって、お互い何とか助け合ってやっていくのがやっとだね。以前は香港やタイにも輸出されていたけれど、今では絵付けして国内の市場で売られるのがせいぜいさ。」と嘆く。

 工房で働く女性職人たちは、自作の質素な木靴を履いている。彼女らの収入では、街中の店に並ぶきらびやかな靴を買うことはできない。しかし、そのシンプルさにこそ木靴の美があるとも言える。この木靴の伝統工芸を、これから先も目にすることはできるのだろうか。ますます市場が縮小されたら、職人たちはどこへ行ってしまうのだろうか。

 同省には数多くの工業団地があり、普通に工場で働けば、木靴職人を続けるより仕事ももっと簡単で楽かもしれない。収入も上がるだろう。それでも職人たちは、この伝統工芸を守り続ける。一生をかけて追い続ける職業には、単に生計を立てるためだけではない場合もあるのだ。ベトナムの女性に古くから親しまれてきた木靴を履く人が減ってもなお、木靴作りは職人たちにとって自分の手に馴染んだ誇り高い職業であることに変わりはない。

前へ   1   2   次へ
[Le Thieu Nhon, Bao Hai Quan, 11/09/2014 08:04 GMT+7, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市では20世紀初期からスーツの仕立て屋が営業しているが、仕立て職人の多くが同市フースエン郡の...
 昔も今も、ホーチミン市の人は何か探しものがあると、特別なものから日用品まで何でも揃うベンタイン市...

新着ニュース一覧

 ドナルド・トランプ米大統領は2日、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を科すと発表した。180以上...
 ブイ・タイン・ソン副首相 兼 外相は、5月に予定されているトー・ラム書記長のロシア訪問と「対ナチス...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 北中部地方クアンビン省人民委員会は、マーク・ナッパー駐ベトナム米国大使が1日午後、同省の指導者と...
 ホーチミン市フーニュアン区のファンシックロン(Phan Xich Long)通りの周辺には、全長1kmにも満たない1...
 政府は3月28日、電気料金の調整メカニズムを規定する政令第72号/2025/ND-CPを公布した。同政令は即日施...
 財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)と米インテル(Intel)は2日、「コミュニティのた...
 株式会社ニトリホールディングス(北海道札幌市)は4月11日、ベトナム4号店としてグローバル旗艦店「ニト...
 日本政府は3月28日、北部紅河デルタ地方ハイフォン市キエンアン区の水産・食品技術短期大学(元:技術経...
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ドナルド・トランプ米大統領がベトナムを含む世界の貿易相手国・地域を対象に追加関税を発表したことを...
 政府は3月31日、輸出入関税の優遇措置に関する政令第26号/2023/ND-CPの一部を改正・補足する政令第73号...
 4月に施行される新規定2本をまとめて紹介する。 1.電子署名証明書の分類  電子署名・トラスト...
 公安省交通警察局の統計によると、道路交通分野の交通安全秩序に関する行政違反処罰を規定する政令第16...
 駐シンガポール・ベトナム商務部によると、シンガポール食品庁(SFA)がベトナム産の一部の食肉製品と鶏...
トップページに戻る