「死者の骨を洗う」プロ、生きている人に心の安らぎを

2014/08/24 07:54 JST配信

 彼らは1時間以上かけて脛、腿、腕、肋骨、頭蓋骨を探しあて、ビニールシートの上に並べた。しきたりによると、まず頭蓋骨を赤ワインで丁寧に3回洗い、手ぬぐいで拭く。その他の骨も順番に洗って、足、腕、肋骨、肩甲骨の順に骨壷に納めていく。最後に頭蓋骨を手に取り、祈りを唱えてから一番上に置いた。骨壷は、遺族に引き渡すか、指示された新しい墓に納骨するのだという。

(C) Lao Dong, 棺桶から骨を取り出すナムさん
(C) Lao Dong, 棺桶から骨を取り出すナムさん

 ナムさんは、「死者たちのお陰で金をもらって生活しているが、死者を敬う心がなければできない神聖な仕事。霊魂に関わることだから、決して間違いがあってはならない」と語った。

 喪主を務めたことのあるマイ・バン・ズオンさんは、「改葬は神聖なものであると同時に極めて非衛生的。以前は、人が亡くなるたびに親族の誰かが改葬したが、今はプロに頼んでいる」と言う。費用はだいたい50万~60万ドン(約2500~3000円)だという。

 改葬の習慣が薄気味悪く非衛生的であるとはわかっていても、行わないことで何か祟りがあるかもしれないと思うとやらないわけにはいかない。洗骨のプロが「有毒な微生物」のリスクを肩代わりしてくれることで、親族は危険にさらされることなく、祟りの心配もなくなる。つまり、洗骨請負人の仕事とは、死者のためというより、生きている人の心に安らぎを与えることだと言えるだろう。

前へ   1   2   次へ
[Tran Manh Tuan, 2013/07/06 19:48, S]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市ソックソン郡タインスアン村ドイコック集落に住むグエン・ティ・二エムさんは、2006年のある日...
 ハノイ市バックトゥーリエム区に住むグエン・ティ・ビンさん(女性・64歳)は、人々が目をそむけ、誰もや...
 医学を志す大学生の解剖実習のため、大学に運ばれた遺体を受け取り、洗浄した後に化学薬品を注入し、ホ...
 ベトナムには、葬儀にまつわる独特の風習を持つ地方がいくつかあるが、その中でも驚きの風習についてい...
 紅河デルタ地方ナムディン省チュックニン郡チュックフン村在住のラム・バン・トゥエンさんの一家は、こ...
 9年以上前から毎日のように中絶胎児の遺体を引き取って供養している女性がいる。紅河デルタ地方ナムデ...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国立展示建設センター(1 Do Duc Duc, quan Nam Tu Liem, TP. Ha Noi)で、...
トップページに戻る