米国ワシントン首都圏に属するバージニア州フォールズチャーチ市で、ベトナム野菜の農園を営む越僑女性がいる。「野菜おばさん」とも「農園おばさん」とも呼ばれているが、本名はゴー・ティ・ボックさんという。現在の田舎のおばさん風の身なりからは想像しがたいが、約40年前の南ベトナム時代のサイゴンではその美しさで名を馳せていたという。
(C)Thanh nien、ボックさん(右)と夫 |
ボックさんは公務員の家庭に生まれた。両親は10人の子供(全て女の子)に恵まれたが、そのために生活は大変だった。ボックさんは長女で、家の手伝いをして両親を助けなければならなかった。
妙齢になると美貌と英語の能力のおかげで、一流ホテルでの仕事を得ることができた。給料はかなり良く、残業にも精を出してよく働いたため、ボックさんは一家の大黒柱になった。ところが、後方勤務の米軍兵士が彼女に夢中になりプロポーズ。家族の大反対に遭いながらも、2人は結婚し子供をもうけた。
1970年代初めに夫は米国に帰国したが、ボックさんはベトナムに残った。サイゴン解放が間近になった時点で、子供と共に夫の待つ米国に渡った。その後夫妻は2人の子供に恵まれた。ちなみに3人の子供は全て女性で、今では皆結婚し米国の各地で暮らしている。