東南アジア人初のJリーガーとして約4か月、コンサドーレ札幌で奮闘した‟ベトナムの英雄”レ・コン・ビン。Jリーグが東南アジア戦略を進める中で、大きな期待を背負っての移籍だった。札幌は最終節の結果により、惜しくもJ1昇格プレーオフ進出を逃したが、コン・ビンが移籍したことで、ベトナム国内初のJ2放送や新規スポンサーの獲得に繋げ、商業的にも一定の成果を挙げた。
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コン・ビン自身も徐々に出場機会を増やしていき、重要な試合でゴールを決めるなどピッチでも存在感を示した。レンタル移籍の期限が間近に迫る中、今シーズンの公式戦を全て終えたコン・ビンにインタビューを行い、来シーズンの抱負などを聞いてみた。
−今シーズン最後の試合が終わり、帰国を間近に控えた現在の心境を聞かせてください。
「祖国を離れて暮らす人なら誰でも、帰国する日を指折り数えて楽しみにしているだろう。私も同じだ。娘や家族、友人、チームメイトとの再会を心待ちにしている。しかし、同時にこの地を去ることへの寂しさもある。サッカーを取り巻く日本の環境、札幌の寒さ、新しいチームメイト、そして情熱的なサポーターたち・・・帰国すれば、きっと日本を恋しく思うだろう」
−日本に来てから最も心に残っていることは?
「初めて日本の地を踏んだ時から、会長をはじめとするクラブのフロント陣、専属のシェフに至るまで、皆がベトナムから来た私を暖かく迎え入れてくれた。早く日本の生活に慣れるようにと、私をサポートし、日本語を教えてくれたりもした。サポーターの素晴らしさは想像以上だった。私がスタジアムに姿を見せると、まだ何の実績もない私に熱心に手を振ってくれた。しかし、最も心に残っているのは、ある中年の夫婦がベトナムの国旗を掲げながら、私にサインと記念撮影を求めてきたことだ。日本でベトナムの国旗を手に入れるのは、さぞかし難しかっただろう」