80日間かけてベトナムを縦断し、その体験を元に本を出版した24歳の越僑青年がいる。その青年チャン・フン・ジョンさんは、米国で生まれ育ち、ベトナム語が堪能ではない上、ベトナムを旅するまで親の祖国について何も知らなかったという。
(C)Cafebiz, チャン・フン・ジョンさん |
(C)Cafebiz, 田植えの風景 |
(C)Cafebiz, 農作業の風景 |
ジョンさんは昨年、自身がこの縦断の旅で感じたことを手記にして「ジョンがフンを探しに行く」というタイトルで出版した。この本は、ベトナムの農家や若者の暮らし、ベトナム人の親子関係などについて、個人的視点から見つめたエッセイとして綴られている。旅の目的は、ベトナムを知り、自らのアイデンティティを見出すことだ。
ジョンさんは旅の体験を通して生まれ育った米国ではなく親の祖国であるベトナムこそが本当の故郷と認識できるようになったという。本の中で彼はこの瞬間を「ジョンがフンを見つけた」と表現している。
しかし、越僑である彼は旅の中で出会った多くのベトナム人から「米国で生まれ育ったのだから完全なベトナム人ではない」と言われたという。「ベトナム人にとっての越僑は祖国を捨てた人間です。今更何をしに来たのかというのが彼らの心情でしょう。ですが、私の立場から言わせてもらえば、越僑は決して外国人ではありません。しかし、ベトナム人になることも出来ないのです」