退院後は1日中ベッドに寝たきりで、風が吹いただけでも身体が痛むような状態で、誰もがもう先が長くないだろうと思っていた。しかし暫くすると、薬が効きはじめたのか、理由はよくわからないが、彼女は徐々に元気を取り戻していった。それからはまた病気の治療に万策を尽くす日々。北から南まで漢方医を訪ね歩いたという。
(C)Bao Dat Viet, 飲尿を続けるボンさん |
(C)Bao Dat Viet, 44歳のころのボンさん(中央) |
(C)Bao Dat Viet, 使わなくなった薬 |
そこまで話すと彼女は立ちあがり、彼女が飲むのをやめてしまった膨大な薬の束を見せてくれた。その中には詐欺で有名な医者の薬もあった。村の人と連れ立って心霊療法を受けに行ったこともあるという。だが、一緒に行った知人がほどなくして亡くなったのを機に、そうした療法を信じるのをやめたのだという。
その後また彼女の症状は悪化し、ベッドに寝たきりになった。いつお迎えが来てもおかしくない状況で、家族はまた、もしもの事態に備えるようになった。しかしまたしても、彼女は死を免れる。「私の守護神が、最高の妙薬を与えてくれたのです。既成品でもなく、お金もかからない、命の水を・・・」
調べてみると、海外には飲尿を健康法のひとつとして行っている人たちは確かにいるようだ。しかし、医学的な根拠はあきらかにされておらず、ボンさんが回復したことと飲尿の因果関係もわかっていない。