整備中の光海底ケーブル「SJC2(Southeast Asia-Japan Cable 2)」と「アジア・ダイレクト・ケーブル(Asia Direct Cable=ADC)」の2本は、2023年中に稼働を開始する見通しだ。
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ベトナムと海外を結ぶ、この光海底ケーブル2本の稼働が実現すれば、海外への通信容量が大幅に増加し、安定したインターネットアクセスに大きく貢献するものと見込まれる。
ADC案件に出資している国防省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)によると、ADCは既にベトナムに陸揚げされており、2023年7~9月中に稼働を開始する予定。同ケーブルの運用開始により、同社のベトナムから海外への接続容量は+18Tbps増加する見込み。
ADCは、◇日本、◇中国、◇香港、◇フィリピン、◇ベトナム、◇タイ、◇シンガポールを結ぶ総延長距離約9800kmの光海底ケーブルで、設計容量は140Tbps。最新の光伝送技術を活用することで、アジア地域のネットワークの冗長性の確保、高信頼な通信の実現、回線需要変化への柔軟な対応にも貢献することが期待される。
また、SJC2案件に出資しているベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Group=VNPT)によると、こちらも2023年中に稼働を開始する計画だという。SJC2は、◇日本、◇韓国、◇中国、◇台湾、◇香港、◇ベトナム、◇タイ、◇カンボジア、◇シンガポールを結ぶ総延長距離約1万0500kmの光海底ケーブルで、設計容量は144Tbps。
ベトナムでは現在、過去最悪とも言える深刻な光海底ケーブルのトラブルが発生中。合わせて5本の光海底ケーブルに接続しているベトナムだが、◇「イントラアジア(IA)」、◇「アジア・アフリカ・ユーロ1(AAE-1)」、◇「アジア・アメリカ・ゲートウェイ(AAG)」、◇「アジア・パシフィック・ゲートウェイ(APG)」の4本でトラブルが同時発生しており、復旧作業はいまだ完了していない。
現在稼働中の光海底ケーブルは、「シー・ミー・ウィー3(SEA-ME-WE3=SMW3)」の1本のみとなっており、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)は陸上の迂回ルートの通信量を拡張するなどの対策を取ることで、海外へのインターネットアクセス容量の半分を補っているという。
なお、SJC2とADCとは別に、ISPはバックアップ体制を強化するため、光海底ケーブルの新規敷設事業を積極的に推進していく考えだ。