ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ在住のベトナム人を苦しめているばかりか、ロシアで暮らし働いている多くのベトナム人も欧米諸国のロシア制裁措置による深刻な影響を受けている。
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首都モスクワのリウブリノ市場にある子ども向け洋服店で働くレ・ホン・フーさん(男性・29歳)によると、同市場では多くのベトナム人が働いているが、このところ買い物客が減り手持ち無沙汰の日が続いている。例年は人出の多い時期だが、今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加えてウクライナ侵攻の影響を受け、かつてないほど客が少ない。
フーさんは「ロシアルーブル(RUB)が対米ドル(USD)で暴落している。この店では中国から米ドル建てで商品を輸入しルーブルで販売しているので、為替変動を価格に転嫁しなければ赤字、しかし転嫁すれば高くて誰も買わない」と話した。また、ロシア人は消費に慎重になり主に食品や必需品を購入していて、衣服や履物を買わなくなったという。
フーさんの月給は以前の1200~1300USD(約14万2000~15万4000円)からかなり減らされた。2~3か月に一度はベトナムの実家に送金していたが、今はそれもできなくなり、いつ解雇されるかと不安な日々を送っているという。ロシア在住のベトナム人は、ウクライナ情勢が落ち着いてロシア制裁が解除される日を待ち望んでいる。