ホーチミン市7区のフランス・ベトナム病院(FV病院=FV Hospital)が「情報を捏造された」として賠償金を求めて患者の女性を提訴した裁判で、7区人民検察院は病院側の立場を支持する判断を示した。この事件の裁判は16日から同区人民裁判所で開かれており、21日に判決が下される見通しだ。
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N・T・M・Cさんは、不正出血があり診察を受けるため2018年6月19日にFV病院を訪れた。Cさんは診察の約3~4週間前に緊急避妊薬を摂取しており、妊娠検査薬では陰性、超音波検査でも妊娠は確認されず、凝血塊の可能性が高いと診断された。
Cさんは凝血塊を摘出するための薬を投与されたが同日夜に出血が止まらなくなり、改めて病院で妊娠の検査を受けたところ、妊娠していたことが確認され、不正出血は「流産による出血」と結論付けられた。病院側は、流産の理由について「Cさんが緊急避妊薬を摂取したため」と説明した。
その後、CさんはFV病院に数日間入院して治療を受け、さらに同市のツーズー病院でも検査を受けて治療を受けなければならなかった。
FV病院の対応に不満を持ったCさんは2018年6月23日、フェイスブック(Facebook)に「誤診された」「流産させられた」などFV病院の医師らを非難する書き込みを投稿し、大きな波紋を呼んだ。
FV病院は、Cさんが情報を捏造して同病院の尊厳を損なったとし、「危機の解決にかかった費用」「精神的損失」への補償としてCさんに13億VND(約607万円)の賠償金と公開謝罪を求めた。一方のCさんも被害を受けたとして同病院を提訴し、1億4300万VND(約67万円)の賠償金と公開謝罪を求めている。
7区人民検察院は、医療審議会の結論を参照した上で「病院の対応に問題はなかった」として病院側の立場を支持し、賠償金を請求する権利があると判断する一方、病院が請求している金額の大部分は法律で規定された損害を克服するために必要な費用にはあたらないとして賠償金を1300万VND(約6万0700円)に減額すると共に、Cさん側が公開謝罪をする義務があるとの見解を示した。
2003年設立のFV病院は海外資本100%出資の病院。7区フーミーフン新都市区の総合病院、同市1区のFVサイゴンクリニックの2拠点をそれぞれ運営している。従業員数は約950人(うちベトナム人と外国人の医師が約130人)、病床数は220床。