アイスティー1杯の原価は250VND(約1円)、それを5000VND(約24円)で売れば、利益率は2000%にも上る。夏を迎えたハノイ市の路上の即席茶屋は、世界一利益率が高い商売と言えるかもしれない。
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夏が到来し、同市内の交差点付近や路地のそこらじゅうに小さなプラスチック製の椅子を並べた即席茶屋がお目見えする。椅子は客の座席にもなれば、テーブルにも早変わりする。
客層は、小休憩と水分補給に訪れる労働者や、朝から晩まで1日中茶屋に座って宝くじに精を出す者、友人とお喋りに興じる若者と様々だ。アイスティーにはレモンティーやキンカンティー、レモングラスティー、ピーチティーなどの種類があり、喧騒と埃の中でアイスティーを飲み、ヒマワリの種をかじりながら語らい合うのが首都ハノイ市の夏の風物詩だ。
こうした即席茶屋が歩道を占拠するため、警察は巡回取り締まりを行っているが、警察が来たと分かると店主も客も一目散に逃げる。即席茶屋の跡には客の飲み残しが撒かれ、ピーナッツの包装やタバコの吸い殻で散らかっている。さらにはスリが横行し、盗んだ品を路上で売る者までおり、秩序を乱す即席茶屋が首都の顔を汚してしまっているのが現状だ。
即席茶屋や飲食屋台の路上営業による歩道占拠の問題は今に始まったことではないが、当局は路上での営業が社会秩序を乱しているとする反面、路上で生計を立てざるを得ない市民に対する具体的な措置を未だ講じていない。しかし、人々が1日の終わりに涼みながら他愛ない話をするには即席茶屋は絶好の場所となっている。
こうした中、何も動こうとしない当局の姿ばかりを見て人々はどうしたら文化的で礼儀正しくいられるというのか、といった意見もみられる。さらには、果たして即席茶屋が「文化」なのか、はたまた「社会問題」なのか、といった疑問も投げかけられている。