ベトナムとラオスに分布する絶滅危惧種の動物「サオラ」を保護すべく、北中部地方トゥアティエン・フエ省のバックマー国立公園で世界初となる「サオラ繁殖センター」が建設されている。同センターは、2017年末または2018年年初にも完成する見通しだ。
(C) nguoidothi |
これは、農業農村開発省が国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会(SSC)傘下のサオラワーキンググループ(SWG)と協力して進めているもの。
「ブークアンオックス」や「ベトナムレイヨウ」とも呼ばれるサオラは、約50cmの長い2本の角を持つウシ科の動物で、ベトナム西部からラオス東部にかけての森林などに生息している。1992年に発見されたが、捕獲が極めて難しいため、「幻の動物」とされている。
繁殖に向けた最初の任務は生きた個体を探すことだが、最後に生体が捕獲されたのは2010年8月、ラオスでのこと。しかし、サオラの専門家が少ないことや特別な世話が必要なことから、捕獲できても長く生きられず、この時もラオス政府が組織した専門家が現地に到着する前に死亡したという。
直近では、2013年9月に世界自然保護基金(WWF)とベトナム森林保護局が南中部沿岸地方クアンナム省のアンナン山脈の山中に設置したカメラで、生きたサオラの姿が15年ぶりに確認されている。