20日に国会で可決された新戸籍法には、「長過ぎる名前、本人や他人に不快感を与える名前など、社会通念に照らして不適当な人名」を規制する条項は盛り込まれていないことが明らかになった。
(C) tienphong 長過ぎて省略された名前 |
10月28日に開催された国会における戸籍法草案についての討議で、グエン・ティ・ニュン議員は、「社会通念に照らして不適当な人名は、各民族のアイデンティティの崩壊にほかならない」とコメントし、こうした人名を規制する必要があるとして、ベトナムの文化に適した命名に関する規定を打ち出すことを提案した。
これに対して国会常務委員会は「子供の命名は親の権利で他人が侵害することはできないもの」とし、新戸籍法ではこれを規制しないこととなった。ただし、生まれる子供の権利を守るためにも、改正民事法草案に子供の命名に関する規定を盛り込む方針で検討するという。
以下に、ベトナムに実在する「珍奇ネーム」9つを紹介する。
◇ドン・バン・ティン(Dong Van Tinh):「同性愛」
◇ドン・ホー・トゥイ・シー(Dong Ho Thuy Sy):「スイス製の時計」
◇ロー・ビー・ソン(Lo Vi Song):「電子レンジ」
◇グエン・ファム・ニャン(Nguyen Pham Nhan):「犯人の『グエン(名字)』」
◇ホー・ハン・ティン・ドイ(Ho Han Tinh Doi):「世間を憎む『ホー(名字)』」
◇ファム・ティ・ラウ・ザー(Pham Thi Lau Ra):「産気づいてから出産まで長い時間がかかった『ファム(名字)』」
◇ドー・フィ・デン・カック・ストロ(Do Phi Den Cac Stro):
「カック・ストロ」は、キューバの革命家フィデル・カストロ氏のこと。親がカストロ氏を尊敬していることに由来して命名されたと思われる。
◇ロー・ナン・ドー(Ro Nan Do):
「ロー・ナン・ドー」は、サッカー選手ロナルド氏のこと。親がロナルド選手の大ファンで命名されたらしい。
◇チュオン・ボー・キー(Truong Vo Ky、漢字:張無忌):
「チュオン・ボー・キー」は漢字で「張無忌」。中国の金庸氏による武俠小説「倚天屠龍記(いてんとりゅうき)」の主人公のこと。親が張無忌に憧れて、このキャラクターに因んで名付けたのかもしれない。
このほかにもベトナムでは、ベトナム語で犬を意味する「チョー(Cho)」さんという人がいたり(チョーさんの兄弟姉妹6人全員、動物の名が付くという)、「レ・ホアン・ヒエウ・ギア・デ・ニャット・トゥオン・タム・ニャン」さんという何とも長い名前の人がいたりする。いずれも他人に不快感を与える名前ではないものの、本人たちにとってはIDカードや各種書類の表記に難儀したり、周囲の人々からからかわれたりと苦労があるようだ。