紅河デルタ地方ハイフォン市トゥイグエン郡ザーミン村にある同市青年団傘下の薬物更生施設で14日午後16時ごろ、同施設に収容されている約400人が武装して施設の門を破壊し、外部へ脱走する事件が起きた。
(C) vnexpress |
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脱走者らは、同施設から国道10号線に沿って約15kmの道のりを「パレード」しながら同市中心部へ向かおうとしたが、郊外のビン橋付近で阻止された。同市警察は地方当局と協力し、交通整備を行ってパレードを監視。脱走者らに降伏して施設へ戻るよう呼びかけた。同時に、脱走者らによる破壊や略奪などを防ぐべく、近隣の民家や商店に対してドアを閉めておくよう忠告していたため、幸い物的・人的被害はほとんど発生しなかった。
同日夜、脱走者の大半は自宅に戻り、残りは自主的に施設に戻った。施設の責任者によると、同施設には約600人の麻薬中毒者が収容されており、収容者の7割は前科があり、4割はHIVに感染しているという。同施設から収容者が脱走したのは今回が初めてではなく、2005年4月にも約1000人が脱走し、周辺の住宅街で騒動を起こしている。
今回収容者が同施設から脱走した理由は、国が麻薬中毒者に対して支給する食事補助金が月45万VND(約2280円)から月36万VND(約1830円)に削減されたこと、また、治療期間終了後も麻薬中毒から脱することのできない者の収容期間が2年間から4年間に延長されたことを不服に思ったためと見られている。なお、ハイフォン市では麻薬の横行が深刻な社会問題となっており、更に同地域には暴力団も多く存在するため全国でも治安の悪い都市として知られている。