臓器移植の需要に応えるため、闇の仲介グループが暗躍している。現行の法律に従っていては、いつまで待っても移植できそうにない患者らは、高額を請求されても彼らに頼り感謝さえしている。
臓器移植に関する法律の規定によると、臓器を提供できるのは「民事責任能力のある満18歳以上の国民が自発的に提供を希望し、且つ提供相手と医学的に適合しており、提供者自身の健康に大きな影響を与えない場合」に限られる。移植希望者が多く提供者が少ない現状が、仲介業が横行する舞台の背景となっている。
非公式の統計によると、国内には現在約6000人の慢性腎不全の患者がおり、このうち1500人が腎臓移植を必要としている。ハノイ市在住のバンさん(38歳)もその1人だ。彼は1年ほど前に、Kと名乗る人物から2億ドン(約97万円)で腎臓提供者を紹介してもらった。提供者を探し始めてから僅か十数日後のことだった。ハンさんは、Kが闇仲介業者だとしても手際良く約束通り仕事をし、自分の健康が回復したことに感謝していると話した。
東北部クアンニン省在住のQさんは、ハノイの病院で腎臓移植希望者リストに登録した日に病院前で出会った仲介業者から、約2か月後に提供者を紹介された。現在も治療中のQさんは「規定に従っていたら手に入らないものも、市場には何でもあります」と語った。