グエン・バン・ヒエウさん(62歳)も、30歳以下の若い夫婦の離婚届を代書することが多い。「夫婦でここに来る人達は、どうしても聞く耳を持たない。自分の考えだけ主張して譲らず、離婚届を持ち帰ると決めている」とヒエウさん。
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代書屋達は、この仕事を通じて世の中で起きている悲喜劇を知ってしまう立場にある。土地の相続をめぐる肉親同士の殺人事件に友人の娘を狙ったレイプ事件、警察の捜査に協力したこともあるという。
代書料金は実費を別にして8万~10万ドン(約305~382円)。毎月の収入は200万ドン(約7630円)程度だ。この道40年近いというファン・バン・トゥーさんは「毎朝ここへ来て、仲間達と一緒に仕事をしていないと寂しく感じる。かつては13人がこの仕事をしていたが、今は8人が残るだけになった。このうち3人は私と同じように身体障害者だ。仕事を今まで続けてこれたのは、家族や社会の重荷になりたくない、自立しようという思いがあったから」と語った。