ホーチミン市人民裁判所はこのほど、2014年5月に同市で起きた同性愛者のバラバラ殺人事件で、被害者の男性を殺害したとして殺人罪と窃盗罪に問われていたチャン・ニャット・ズイ被告(男・21歳)に終身刑の判決を言い渡した。犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪に問われていた共犯者でズイ被告の恋人のダン・ザー・リン被告(女・23歳)は、禁固2年の判決を言い渡された。
(C) vnexpress, リン被告(左)とズイ被告(右) |
捜査結果によると、ズイ被告とリン被告、及び被害者のバン・アイン・トゥアンさん(男性・当時30歳)は、いずれもメコンデルタ地方ティエンザン省出身。ズイ被告とトゥアンさんは、家も隣同士で家族ぐるみで親しく、ズイ被告が高校生だった2011年から恋人関係にあった。
ズイ被告が2013年に進学のためホーチミン市に越してきて以降も、トゥアンさんが押しかけてきて2人はゴーバップ区のアパートで同棲生活を送っていた。しかし、ズイ被告にやがて女の恋人ができると、トゥアンさんは激しく嫉妬し、家族や恋人に暴力を振るうと脅して恋人との交際を邪魔するようになったという。
トゥアンさんから交際をしつこく迫られたズイ被告は、怖くなって殺害を決意。リン被告はこの計画に反対したが、ズイ被告は青酸カリを購入しインスタントラーメンに混入させてトゥアンさんの殺害を図った。しかし、この時は未遂に終わり、また数日後に薬と偽って青酸カリの詰まったカプセルをトゥアンさんに飲ませて殺害した。
殺害後、ズイ被告はリン被告を呼び出し、トゥアンさんの遺体をチェーンソーなどを使いバラバラにした後、2人でティエンザン省のミーロイフェリー発着場や南中部高原地方ラムドン省のバオロック峠周辺、南中部沿岸地方ビントゥアン省のタープア峠周辺に頭部や手足を遺棄した。ゴーバップ区のアパートで遺体が発見された時、残されていたのは胴部のみだった。トゥアンさんの携帯電話やバイクは、2人が売り払って処分していた。
裁判所は、被害者にも非があったこと、またズイ被告が取り調べに素直に応じ反省を示している点などを酌量して、検察側の死刑という求刑よりも軽い量刑を科した。