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次の試練は使徒たちの像だった。本によれば像の高さは2m程度ということだったが、実際には2倍もあった。さらに屋根は勾配が急でつかまるものもない。2人は使徒たちの像を越えるのに1時間近くを要した。
「建物は何百年も前に建てられたもので老朽化していたため、我々はゆっくりと進むしかありませんでした」とバシュラール氏は語る。
尖塔は上に登るほど狭くなる。2人はようやく頂上の十字架の近くまでたどり着き、ここでパリオー氏は止まり、バシュラール氏が旗を掲げるためにさらに少しずつ登った。
「冬は風が強く、地上から100m近い高さ、しかも命綱もないとなれば、さらに寒く感じられました。手は痛み、顔は銅のさびで真っ黒でした」とバシュラール氏は振り返る。
しかしついに、頂上に旗を設置して留めていたひもを引っ張ると、尖塔の頂上に赤と青の旗がはためいた。この光景は3人のこれまでの困難を忘れさせるほどで、3人の心には幸福感だけが残った。
地上に降りると、パリオー氏はのこぎりを使って、頂上に登るための階段に使われていた鉄の棒を10mほど切断した。すぐに他の人が登って旗を撤去されないようにするためだった。
旗を掲げる作業は、1月19日午前2時に完了した。3人は馬車に乗ってフランスの新聞「ル・モンド(Le Monde)」の編集部に直行し、ノートルダム大聖堂の頂上に南ベトナム解放国民戦線の旗が掲げられていることについて知らせた。
しかし、試練はまだ終わっていなかった。