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なぜなら、ニさんの一番の願いは、バインセオ店が繁盛して、3人の孫たちが学校に通うためのお金を自分たちで賄えるようになることだからだ。一生懸命に働くということはすなわち、他人のサポートに頼ることしかできない弱い人間にならないよう、運命を乗り越える力と強さを身につけてほしいというニさんの孫たちへの教育でもある。
「故郷の学校を中退しなければならなかった孫たちを見ていると、申し訳ない気持ちになります。たとえどんなに大変であろうと、孫たちのより良い将来のために、私はもっともっと働きます」とニさんは涙を浮かべた。
幸い、アインさんたちきょうだいは、幼いころから自分たちの家庭の状況をよく理解しており、何かを要求することもなかった。
店のキッチンに立つアインさんは、祖父母から「交代しよう」と言われても構わずに何時間もバインセオを焼き続ける。それはひとえに、高齢の祖父母を助けたいという一心からだ。
学校を中退したため、アインさんには友達があまりおらず、いつも弟と妹と一緒にいる。両親や故郷の友達、先生が恋しくなることも少なくないが、弟と妹のために強くいなければと自分に言い聞かせている。
将来の夢について聞かれると、アインさんは困惑して頭をかき、まだ想像もできないという様子を見せた。アインさんはしばらく考えてから、微笑んで短くこう言った。「弟と妹がお腹いっぱい、美味しくごはんを食べられることかな」。
来年度、アインさんたち3人は学校に戻り、勉強を続ける予定だ。そして、自分たちの力で将来を変えていくのだろう。