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「岸に上がると、生き残れたと抱き合って泣いていましたね」とトゥエンさんは振り返る。トゥエンさんや地元住民は、カジノから脱走してきて困っている人たちに渡すための、服や万能薬の油などをまとめた袋を常備している。また、無一文の人たちが家に帰るための交通費を、お金を出し合ってサポートしたりもしている。
今回の集団脱走で地元住民が最も後悔しているのは、溺れている16歳の青年を救うことができなかったことだ。「急いでボートで近付きましたが、間に合いませんでした。彼は私たちの目の前で沈んでいったんです。すべてがあっという間の出来事で、生と死を分けたのはほんのわずかのタイミングの差でした」と、フンさんは悲しそうな声で話した。
その後、地元住民らは、救出した40人に食事や服を与え、世話をした。アンフー郡当局は、今回40人を勇敢に救った人々や、救出後にサポートした人々を表彰する計画だという。
なお、今回の集団脱走では、42人のうち1人が死亡、1人が途中で身柄を拘束されて逃走に失敗した。残る40人(男性35人・女性5人)は地元住民らの救出により、無事にベトナムに帰国した。
カンボジア当局はカジノの立ち入り検査を実施し、中国人マネージャーを逮捕。中国人マネージャーは取り調べに対し、ベトナム人らに強制労働をさせたことを認めた。カンボジア当局は、人身売買の被害に遭ったとみられる人々を中心に、全国的に同国在住外国人の調査を進めている。
一方、ベトナム側ではアンザン省警察が、カンボジアにベトナム人らを売り飛ばした4つの人身売買ルートを特定し、関与した2人を逮捕した。