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リエムさんはダナン市の貧しい家庭に生まれた。幼い頃、ボランティア団体から食料やおもちゃを受け取るために、近所の友達と一緒に昼から夕方まで列に並んでいた。「プレゼントをもらうたび、いつも皆でわくわくしていました。そして、大きくなったら、その時のボランティアの方々のように自分も人に喜びを与えられる人になりたいという夢を持つようになったんです」とリエムさん。
大学生になると、リエムさんはボランティアグループに参加するようになった。2009年に大学が主催したクアンナム省ダイロック郡ダイソン村の子供たちに贈り物をするプロジェクトの中で、洪水の被害に苦しむ住民を目の当たりにし、当時大学2年生だったリエムさんは何か人々の役に立つことがしたいと切に願った。
家に帰ると親しい友達数人を誘って、ダナン市内やクアンナム省のタイザン郡、ナムチャーミー郡の辺境に住む、不遇な人々や貧しい学生などへの支援を目的とした「ダナンピンクスマイルクラブ」を立ち上げた。
当初はスポンサーがいなかったため、リエムさんたち学生グループはキャンディーや花を販売したり、音楽イベントを開催したりして資金を作り、米の寄付を募るなどしながら活動していた。5年後には、ボランティア活動で給与を捻出できるようになっただけでなく、多くのスポンサーが支援を申し出てくれるようになった。
そして、リエムさんの団体は、ソーラーパネルの設置、浄水器の設置、子供たちの遊び場作りなどの新たなプロジェクトを立ち上げるため、恵まれない環境にある学校を探し始めた。「探せば探すほど、ベトナムにはまだ電気や清潔な水が確保できていない地域、先進的な技術を取り入れられていない地域があることがわかりました。私は、彼らの生活を変えるサポートをしたかったんです」とリエムさん。
2016年、リエムさんと13人のメンバーはナムチャーミー郡チャーゾン村にある第5村落まで、10時間かけて4つの山を越え、重さ100kgを超える4枚のソーラーパネルを交代で運んだ。「皆、山を登って森を歩いて、疲れ切っていました。手足は傷がついて泥だらけになり、お風呂に入ったように汗をかいていましたが、村落の人たちが待っているんだからと皆で励まし合いながら前に進みました」とリエムさんは当時を回想する。
ソーラーパネルを設置してから数時間後、夕暮れ時に最初の電球の光が点灯し、第5村落の住民とボランティアのメンバーは抱き合って喜び、涙を流した。「数年前の村内には電気も子供たちの遊び場もない地域がたくさんありましたが、リエムさんたちのおかげで、私たちは辺りが暗くなってもオイルランタンやろうそくを使わずに過ごせるようになったんですよ」とチャーゾン村共産党委員会のホー・バン・ベン書記は語る。現在までソーラーパネルは問題なく機能しており、村人たちに充分な電力を供給している。