(C) zingnews |
「けがをした人の家族がすぐに来られないときは、我々がけが人を病院に連れていくことも多いです。けが人が経済的に困窮している人であれば、メンバーでお金を出し合って病院の費用を渡します」とベトさんは話す。
過去2年間に多くの事故を目の当たりにしてきた中で、ベトさんやメンバーが最も誇りに思っているのは、自分たちの活動によって多くの重傷者が手遅れにならずに危険な状態から回復したことだ。しかし一方で、メンバー皆が最善を尽くしたものの、犠牲者の命を救うことができなかったときには自責の念と後悔に苛まれる。
「半年前にホートゥンマウ通りで起きた事故が忘れられません。若い男性がコンテナトラックの後輪にひかれてしまったんです。現場に駆け付けたときには既に彼の呼吸は弱く、自分は何もできませんでした。ただ謝罪し、すぐに家族が来るから安心してと声をかけるしかありませんでした」とベトさん。
ベトさんは結成当初を振り返り、こう語る。「交通事故の救助隊を結成しようと思い付き、FASエンジェルという名前と自分の携帯電話番号を印刷したシールを作って、友人や親戚に配りました。道端では、救助隊の存在が少しでも広まればと願いつつ、知らない人にも配って回りました」。
メンバーが外を移動するときには、FASエンジェルのロゴとスローガンがプリントされたジャンパーを着て、道行く人々にも救助隊だとすぐにわかるようにしている。おかげで、けが人や事故現場の近くにいる人から救助隊に直接連絡してくれるようになった。
しかしながら、FASエンジェルにとって最大の問題は活動を維持していくための資金だ。メンバーの多くが家族の大黒柱で、他の省からハノイ市に出稼ぎに来ているため、家賃やその他諸々の費用を支払わなければならず、経済的な余裕がないのだという。
「メンバーの金銭的な負担を減らすため、包帯やアルコール消毒液、医療用品などを支援してくれるスポンサーがついてほしいと願っています。そうすれば、我々もより安心して活動に励むことができますから」とリーダーのベトさんは語った。