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生まれつき両腕がないホー・フウ・ハインさんは、両足を腕のように使い、健常者と変わらない生活を送っている。ITエンジニアになるという夢を叶えるため大学を受験し、今年9月に東南部地方ドンナイ省のラックホン大学に入学した。
夕方、ハインさんはノートパソコンを閉じ、洗濯が完了したばかりの洗濯機の方向に歩いて行った。そして、つま先を曲げて洗濯機の中の服を取り出すと、椅子に腰掛けながらハンガーに服を通し、物干し竿に掛けていった。
2000年7月の雨の日、ドンナイ省ディンクアン郡ザーカイン村(xa Gia Canh, huyen Dinh Quan)で農業を営んでいる両親の元に、4人きょうだいの2番目としてハインさんが生まれた。誕生時、医師は赤ん坊の両腕がないことに気付くと腕の部分をタオルで包み、母親がショックを受けることを懸念して、はじめに家族に事実を知らせた。そして母親には知らせないまま、授乳のために母親に赤ん坊を抱かせた。
それから数日間、ハインさんの父親と祖母は母親に気付かれないように交代でハインさんの面倒を見続けた。授乳の時間になると母親の元にハインさんを連れて行き、授乳が終わるとハインさんを別の部屋に連れて行った。授乳のたびに、まだ事実を知らない妻の前でハインさんの父親はひどく落ち込んでいた。
「生後2週目の時、赤ん坊の服がお包みからはみ出ていたので、それを直そうとしてお包みを開いたときに、赤ん坊の両腕がないことを知りました。私は気を失い、その後のことは覚えていません」と、45歳になったハインさんの母親のブイ・ティ・ホップさんは回想した。
はじめの1年間は、まだ若かったホップさんは毎日涙を流しながら我が子を見つめた。ハインさんは1歳になる頃、虫のように這う練習を始めた。家族の誰もが、ハインさんは一生横這いのまま過ごしていくのだと考えていた。
3歳になり、ハインさんはようやく歩く練習を始めた。それは、ハインさんが母親からご飯を食べさせてもらうことを拒否した時でもあった。ホップさんがハインさんの顔の前にご飯の乗ったスプーンを差し出すたび、ハインさんは足を出してスプーンを自分で持ちたがり、使い方を習得しようとした。
両腕がなく文字を書くこともできないだろうと、ホップさん夫妻はハインさんを学校に行かせることは考えていなかった。両親が1日中畑に出ている間、ハインさんは兄と一緒に家の周りで遊んでいるだけだった。
5歳の時、ハインさんは近所の子供たちを追いかけて家から1kmほど離れたところにある幼稚園にたどり着き、ドアの外に立って子供たちが勉強する様子を眺めていた。それを見ていた先生は、ハインさんを学校に行かせるよう家族を励ました。