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初デートは4時間に及んだ。しかし、ロイさんはもともと誰かを好きになったり誰かと結婚したりするつもりもなかったため、1人の兄のような存在として、ギアさんの仕事、特に芸術的なアオザイに関する話を聞いた。
一方のギアさんも、ロイさんのことを兄のように見ており、自分のことから過去の恋愛、将来の夢まで、正直に話した。
「彼の隣を歩いていると、彼は身体に障害があるけれど、いつもユーモラスで楽観的な人だということがよくわかります。それに、彼が左手だけでアオザイの柄を描くことができると知って感心しました」とギアさん。
知り合ってから初めて迎えるテト(旧正月)は、ギアさんが故郷の南中部高原地方コントゥム省の実家にロイさんを誘った。しかし、ロイさんはそれを断った。
「僕は、他人が僕自身を悲しませるようなことを言うのは怖くないけれど、君が僕みたいな男と付き合っていることで、君の家族を悲しませるのは怖い。だから、テトにわざわざ君の家族にあれこれ考えさせたくないんだ」とロイさんは説明した。
知り合ってから、2人のどちらかが告白するということもなかったが、お互いにいつも絆を感じていた。2人は仕事が忙しいときを除いて、ほとんど毎日会っていた。あるとき、ギアさんが「一番大きな夢」を語った。それは、自分の店を持ち、自分が作ったものを売り、田舎の両親と一緒に写真を撮りたい、というものだった。
ギアさんがきれいな家や高級車、お金持ちの夫を望んでいないということを知って、ロイさんはますますギアさんに好感を抱いた。生まれてすぐに父親に捨てられ、平和村の人々の愛情の中で育ったロイさんもまた、ギアさんのように家族の幸せな時間を過ごしてみたいと夢見ていた。その瞬間、ロイさんは心の中だけでこう言った。「よし、僕が君と一緒にその夢を叶えよう」。
ギアさんから話したわけではなかったが、ギアさんの田舎の両親ときょうだいは2人の関係に気づいていた。あるときギアさんが田舎へ帰ると、父親から「障がい者と付き合っているんだろう?」と尋ねられた。ギアさんが認めると、父親は涙を流したが、反対はしなかった。
「父が泣いたのが、私のことを想ってなのか、ロイさんのことを想ってなのかはわかりません。ただ、私は父に、自分がした選択のおかげで幸せだということ、今の自分にとって彼を選ぶことが最良だということを伝えました」とギアさんは語る。