(C) thanhnien, 現在のランさん |
40年間もジャングルの中で暮らし、2013年8月に父親とともに保護されたホー・バン・ランさん(47歳)は、現在も食べる物を探すため毎日森に入っている。村に戻って早6年、何人かの老人が彼のはっきりとしない話に耳を傾けてくれるだけで、依然として「森の人」は孤独だ。
2013年、南中部沿岸地方クアンガイ省タイチャー郡チャーシン村のジャングルの中で、古代人のような生活を送っている父子が発見されたというニュースに国中が驚愕した。森での生活があまりにも長かったため、2人が社会復帰するのはとても大変なことだった。
その証拠に、ランさんは未だにベトナム語をはっきりと話すことはできず、さらに今も独り身だ。生真面目なランさんと気が合い、この困難に耐えられるような女性はまだ現れていない。
「森の人」の一日
年明けの早朝の高地は、一面が冷たい霧に覆われていた。森の鶏が鳴く声とともにランさんは目覚め、台所に行き朝食の準備を始める。今日は庭から採ってきたばかりのコールラビに加え、昨日仕留めた野ネズミもある。
「兄はとても勤勉です。雨の日でも日差しが強い日でも、寒さの厳しい日でも、籠を持って家族のために食べ物を探しに森に入るのです」と、「森の人」の弟であるホー・バン・チーさん(45歳)は教えてくれた。
食事が終わるとすぐ、ランさんは一握りの白米とお茶を入れた水筒を籠に入れて山道に出る。一つの斜面を越えるとまた次の斜面が現れ、森の小川を渡るのもとても大変だが、一番嫌なのはヒルに出くわしたときだという。数十m進むだけで数十匹のヒルが足のあらゆる場所に噛みつき血を吸うため、血だらけになってしまうのだ。
檳榔樹に青々と実が連なっているのを見つけると、ランさんはすぐに三日月型の鎌でひと房を切断した。1時間ほど歩いたのち、ようやくランさんの小屋に到着した。「森の人」と一緒に山道を進むのは容易ではない。ランさんの歩くスピードはとても早いからだ。小屋の中で3分ほど休憩すると、ランさんは食べるものを探しにまた出掛けていった。