(C) nguoiduatin、タイン・ガー |
カイルオンのほか、タイン・ガーは多数の映画にも出演した。1969年からはベトナム南部を代表する映画女優となり、1971年に台湾の台北で開かれたアジア映画祭に出席したほか、1974年には同じく台北で行われたアジア映画大会で最優秀女優賞を受賞した。
1969年にはインド映画大会に参加し、訪印団で唯一の女性として注目を集めた。さらに、インドのインディラ・ガンディー元首相の出迎えを受け、その写真はインドの現地紙にも掲載された。
タイン・ガーの写真は、東京やパリ、香港にある映画アーカイブにも所蔵されている。タイン・ガー、タム・トゥイ・ハン(Tham Thuy Hang)、キエウ・チン(Kieu Chinh)、キム・クオン(Kim Cuong)の4人は、1975年以前のベトナム南部において最も多くの映画に出演した代表的な女優として知られている。
タイン・ガー夫妻殺害事件
1978年11月26日の夜遅く。ホーチミン市の劇場でカイルオン「Thai hau Duong Van Nga」の公演を終えたタイン・ガーは、夫の運転するグレーのフォルクスワーゲン(Volkswagen)で帰途についた。
そしてこの日、23時30分ごろに事件は起きた。現在のホーチミン市1区レティリエン通りにあたる自宅前に着いたところで、見知らぬ男が突然、夫妻と息子の乗った車に押し入り、銃を向けて「息子を誘拐する」と脅してきた。必死に息子を守ろうとしたタイン・ガーと夫は、犯人らに銃で撃たれ殺害されてしまった。
―後編に続く―