(C)Nguoi Dua Tin, ボー・ニュー・ヒエンさん |
ヒエンさんは遺族からは謝礼を受け取らず、どうしてもという場合は、遺体を覆う筵(むしろ)や線香を買う程度の金額だけ受け取る。警察幹部から多少の心づけが出ることもあるという。交通事故の被害者から金品が盗まれるというケースをよく耳にするが、彼には無縁の話だ。普段の彼は、荷物の運搬やバイクタクシーの運転手をしながら質素な生活をしている。
ただ一つの悩みは、30歳を過ぎても独身のままでいること。ヒエンさんは、色々な女性と付き合ってみたけれどピンとくる人がいないというが、姉のティエンさんは、「お金も土地もない上に、あんな仕事をしていては誰も来てくれない」とあきらめ顔だ。
交通事情がどんどん複雑さを増す現在、大きな事故も増加している。仕事が減るのが何よりだと思いながらも、ヒエンさんは不慮の事故で亡くなってしまった人たちに、最後のぬくもりを届け続けている。