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彼の人生はこれだけではない。始まりは2006年のことだった。大学で2つの学位を取得したロシア人デザイナー、アナスタシア・レベディーバさんは、彼にカイトボードを教えてほしいと頼んだ。真っ黒で背の低いキンさんと、金髪で長身(おまけに美人)の彼女。どういうわけか2人は惹かれ合い、2年後には、ドンとヴァンという双子が誕生した。
金髪の2人の子供が他の子供達とベトナム語で喧嘩しながら、時折ロシア語を話している。そんな様子を見守りながら、部屋の中でパソコンに向かってメールやフェイスブックに返信し、時折流暢な英語で電話している。彼がかつては荒くれ者で、ベトナム語の読み書きもできなかったなど、誰だって思いもよらないだろう。
これまでに彼は、地元の貧しい人々にカイトボードを教え、安定した職に就かせてきた。「カイトボードがなければ、今頃刑務所に入っているか、どこかで野垂れ死んでいただろう。今は暮らしも良くなったし、孤児やストリートチルドレンにカイトボードを教える教室を開きたいんだ。これで終わりだとは思っていない。まだまだ新しい自分に出会えるはず。」キンさんの人生はこれからが始まりだ。