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南中部高原地方ダクノン省ザーギア町(まち)にあるダクルティ水力発電所の貯水池近くで暮らすゴ・バン・クインさん(58歳)は、環境にやさしい「グリーン水力発電所」の開発者として知られる。
ただ、これはクインさんにとって初めての水力発電所ではない。クインさんの家族は1995年に東南部ドンナイ省ビンキュー郡のマーダー森林地区に住んでいたが、住民が少なく電気も通っていなかった。溶接の経験があり、以前スクリュープロペラの船を扱ったこともあるクインさんは、近くの川でプロペラを使って発電装置を作れないかと考えた。
設計から製造まで全て自分一人で行った。最初は船と同じプロペラの形状で試したが、勢い良く回らない。大きさや形を変えるなど試行錯誤を繰り返したという。「水力発電をしようと思い立ってからは、畑仕事は全て妻に任せました。本を読んで研究しようとも思いましたが、小学4年生で学校をやめているので理解できませんでした。夜中にアイデアを思い付くと、起きてメモしていました」
プロペラの羽根を増やし大きさを調節して、ようやく発電できるようになった。この初めての水力発電装置は出力20キロワット(kW)で、クインさんと近所の家に電気をもたらして皆を喜ばせた。しかし5年後にマーダー森林地区が当局によって収用されることに決まり、クインさんの家族は現在のザーギア町ダクルモアン村に引っ越した。