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[特集]

「グリーン水力発電所」を自力開発した農民

2014/05/11 09:33 JST更新

(C)Sai Gon giai phong
(C)Sai Gon giai phong
 南中部高原地方ダクノン省ザーギア町(まち)にあるダクルティ水力発電所の貯水池近くで暮らすゴ・バン・クインさん(58歳)は、環境にやさしい「グリーン水力発電所」の開発者として知られる。  ただ、これはクインさんにとって初めての水力発電所ではない。クインさんの家族は1995年に東南部ドンナイ省ビンキュー郡のマーダー森林地区に住んでいたが、住民が少なく電気も通っていなかった。溶接の経験があり、以前スクリュープロペラの船を扱ったこともあるクインさんは、近くの川でプロペラを使って発電装置を作れないかと考えた。  設計から製造まで全て自分一人で行った。最初は船と同じプロペラの形状で試したが、勢い良く回らない。大きさや形を変えるなど試行錯誤を繰り返したという。「水力発電をしようと思い立ってからは、畑仕事は全て妻に任せました。本を読んで研究しようとも思いましたが、小学4年生で学校をやめているので理解できませんでした。夜中にアイデアを思い付くと、起きてメモしていました」  プロペラの羽根を増やし大きさを調節して、ようやく発電できるようになった。この初めての水力発電装置は出力20キロワット(kW)で、クインさんと近所の家に電気をもたらして皆を喜ばせた。しかし5年後にマーダー森林地区が当局によって収用されることに決まり、クインさんの家族は現在のザーギア町ダクルモアン村に引っ越した。

 クインさんは新天地でも、さっそく水力発電に着手した。今度も鉄板の切断や溶接などを一人で行った。そしてダクルン川に出力1000kWの発電装置を設置し、150世帯と村人民委員会の庁舎への電力供給に成功した。  しかしこの発電装置は、ダクルティ水力発電所の貯水池に飲み込まれてしまった。この後クインさんは貯水池を必要としない「グリーン水力発電」の発電タービンの研究開発に夢中になった。川の流れを堰き止めない流れ込み式で、3メートルの落差があればかなりの発電が可能だ。また圧縮空気システムを使えば、水量が減る乾季にも十分な発電量を確保できるという。  クインさんは、この新しい発電タービン(出力1500kW)をダクラップ郡のダクウェ川に設置することを決めた。発電タービンの製造工場はまだ建設されていない段階だが、クインさんの元には既に多くの発注が寄せられている。  ダクノン省科学技術局はクインさんの発明した発電タービンについて、発電コストが通常のタービンの10分の1と安い上に、ダムや貯水池を建設する必要がなく環境にもやさしいと高く評価。特許取得の手続きを行うよう勧めている。  

[SGGP,12/04/2014, 10:24 (GMT+7),O]
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