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遺体捜索隊の隊員なら誰でも同じような経験をしたことがあるという。「我々の仕事は犠牲者の遺体を家族のもとに帰すことです。しかし、毎回全ての遺体が回収出来るわけではありません。」隊が結成された頃からの古株隊員はそう語る。
フイン・バン・トゥアンさんは、南西部にある川辺の町で生まれ育ち、警察学校を経て21歳のとき遺体捜索隊へ配属された。初めての捜索は水難事故発生から既に10日が経過した現場で犠牲者の遺体を探すことだった。
「恐ろしい光景を想像しました。ちょうど風も強く、遺体の腐敗臭がそこら中に漂っていました。そして、発見した遺体は膨張した白い塊のように見えました。岸に引き上げた時には既に原形をとどめていないことが分かりました。もし、この腕の中で遺体が崩れて流されてしまっていたら、私は気が狂っていたでしょう。」トゥアンさんは過去10年の間に計829回の捜索に参加。79人の生存者を救出し、431人の遺体を探し出している。
常に危険と隣り合わせの仕事、多くの隊員たちが自らを犠牲にして従事してきた。「犠牲者達は水の底で私達が手を差し伸べるのを待っています。彼らの声にならない声を逃さないために、私達は潜り続けるのです。」隊員達は、自分たちの仕事が減ることを心から望んでいると語った。