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世界保健機関(WHO)によると、ベトナムの精神疾患患者は約1400万人に上り、人口の14.1%を占めている。精神科医は約1000人(2020年)いるが、大都市に集中しており、都市と地方における精神医療の格差は依然として大きい。
WHOベトナム事務所のライ・ドゥック・チュオン氏によると、ベトナムのメンタルヘルスケアは一般の医療システムと連携していないという。郡レベルの大半の医療施設はメンタルヘルスのサービスを提供しておらず、精神科医が診断を下しているだけというのが現状だ。また、精神疾患患者の治療は薬物療法のみで、心理療法は限られている。地域精神医療は、持続性のある財源が不足している。
チュオン氏は、メンタルヘルスの問題は仕事のプレッシャーの増大や貧困格差の拡大、不平等、飲酒などによって、今後深刻化する可能性があるとの見方を示した。また、人々の間で精神疾患に対する偏見があるため、疾患を隠したがる傾向があると指摘した。
チュオン氏は、包括的なメンタルヘルスケアサービスの提供を確保した上で、一般のヘルスケアと統合することや、メンタルヘルスの研究と予防の強化を同時に進めるよう推奨している。