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複数の元警察官を含む犯行グループが2020年5月にホーチミン市で大胆な拉致事件を起こし、370億VND(2億1500万円)相当のビットコインを奪った事件で、ホーチミン市人民裁判所は16日、主犯格のホー・ゴック・タイ被告(男・34歳)と共犯のチャン・ゴック・ホアン被告(男・39歳)に終身刑の判決を下した。
他の被告14人は禁固9~19年の判決だった。このうち、ホーチミン市公安局刑事警察部の元警察官グエン・クオック・ズン被告(男)は禁固17年、同市5区の街区レベル公安機関の元警察官グエン・アイン・トゥアン被告(男)は禁固12年の判決を受けた。被告16人全員は資産強奪罪に問われていた。
同事件で拉致されたのは、仮想通貨の投資家であるL・D・Nさん(男性・35歳、ホーチミン市在住)とその家族。
タイ被告とNさんは仮想通貨投資を通じて2016年に知り合った。Nさんの「投資アドバイス」のもと、タイ被告はビットコインを売却し、ほかの仮想通貨に切り替えたが、大きな損失をこうむった。Nさんに責任を追及したものの、Nさんが応じなかったため、これに腹を立てたタイ被告は他の被告と共謀し、Nさんの保有していたビットコインを奪うことを企んだ。
Nさん一家は自家用車で旅先からホーチミン市に戻る途中、ホーチミン~ロンタイン~ザウザイ間高速道路に接続する東南部地方ドンナイ省の取付道路で被告らが乗る車に接触事故を起こされ、そのまま拉致された。
事故後、車を降りたNさんは取り押さえられ、被告らはBBガンや注射器でNさんを脅迫し、Nさんに暴行を加えた上で、「妻を殺す」「娘にHIV感染者の血液を注射する」などと脅し、370億VND(2億1500万円)相当のビットコインを送金させた。Nさん一家はその後、ホーチミン市2区の人気のないところで解放された。
被告らは奪ったビットコインの一部を換金し、188億VND(約1億0900万円)を分け合った。
民事責任に関し、裁判所は、事件発生時にビットコインを含む仮想通貨がベトナムの法律のもとで「通貨」や「決済手段」として認められていなかったとした上で、被告らに対し、Nさんには換金した188億VND(約1億0900万円)のみを払い戻すよう命じた。
残りのビットコインは回収不能となっているため、賠償の根拠はないと結論付けられている。