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日本の国立感染症研究所(NIID、東京都新宿区)によると、ベトナムで採集されたデング熱の主要な媒介蚊であるネッタイシマカがピレスロイド系殺虫剤に著しく強い耐性を示すことを発見し、その原因を突き止めたという。研究は日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて長崎大学、東京大学などとの共同で実施された。
ベトナムのネッタイシマカの多くで作用点ナトリウムチャネルの遺伝子上に重要なアミノ酸置換(L982W)をもたらす突然変異を確認したほか、別のアミノ酸変異(F1534C)も同時に保有する個体も発見し、この二重変異は解毒酵素との組み合わせにより、野生型の1000倍以上という桁外れに強い耐性をもたらすことがわかった。
さらにカンボジアのプノンペンでは、この多重変異を有する超耐性ネッタイシマカが70%以上を占めた。2022年までにL982Wをもつネッタイシマカは周辺国から報告されていないが、今後、人流・物流とともに分布が世界に拡大すれば、デング熱のコントロールにとって重大な脅威となりうると考えられている。