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東南部地方バリア・ブンタウ省人民裁判所は15日、実の父親を毒殺したうえ、遺体を遺棄し、強盗殺人に見せかけて自宅を放火した娘に対し、終身刑を言い渡した。検察側は死刑を求刑していたが、裁判所は重大な犯罪であると認めたうえで、司法の人道性と寛大性を考慮した量刑を下した。
終身刑となったのは、殺人や毒物の違法購入、財産を破壊した罪などに問われていたトン・ティ・トゥン・リン被告(21歳、同省在住)。裁判官らは6日間の審理を経て、検察側の求刑(死刑)より軽い終身刑の判決を言い渡した。
また、リン被告にシアン化物を違法に売り渡したチャン・ティ・ゴック・トゥ被告(女・31歳、南中部高原地方ダクラク省出身)には、禁固2年の判決が下された。民事責任については、被害者側の代表から損害賠償の請求がなかったため、裁判所も責任を問わなかった。
起訴状によると、日頃から叱られていたことで恨みを募らせたリン被告は、父親のトン・ホン・ディエップさん(54歳)殺害を計画。2021年9月、粉末状に砕いた睡眠薬をペットボトルの水に溶かして父親に飲ませたが、健康に影響はなかった。
睡眠薬での殺害に失敗したリン被告は、インターネットで致死性のある毒物であるシアン化物について調べた。被告はシアン化物を入手するため、2022年1月18日に、化学薬品などを取り扱い「死神市場」とも呼ばれるホーチミン市5区のキムビエン(Kim Bien)市場を訪れ、店主のトゥ被告に「学校での実験で使う」と噓をついてシアン化物を購入。
シアン化物を手に入れたリン被告は、ブンタウ市に戻ると、シアン化物を溶かした水を3本のボトルに詰め、飲料水に見せかけて冷蔵庫に入れた。約5分後、父親がペットボトルを取り出して中身のお茶を飲んだが、妙な匂いがしたので吐き出した。
父親はトイレに駆け込み、ドアの鍵をかけて嘔吐。しばらくしてリン被告がドアをノックしたが、応答がなく、物音もしなくなったことで父親が死んだと判断すると、そのまま就寝した。翌19日朝、容疑者はトイレの鍵を壊して父親の遺体を庭に運び、レンガとセメントで覆い隠した。
同日夜、さらに自宅にガソリンをまいて放火し、強盗現場に見せかけた。放火後しばらくしてから近隣住民に助けを求めた。警察の事情聴取では、「強盗犯の男に頭部を殴られて気を失っていた」と虚偽の供述をした。消火後、警察は現場に多くの不審な点が残されていることを発見し、すぐに父親の遺体も発見した。
裁判中、リン被告は何度も泣き崩れて、自身の犯行が野蛮で残忍だったと認め、謝罪の言葉を口にした。被告と姉、母親は殺害された父親について、「善良な人物で一家の稼ぎ頭、子供たちを学ばせるために働いたが、日常的に妻子を叱りつけたり、手を上げたりすることがあった」と話しており、抑圧的な生活を送っていたと見られている。
一方、父親側の親族らは、「被害者はよく酒を飲んだが、酔ったら寝るだけで、喧嘩するようなことはなかった。妻子に暴力を振るったという話も聞いたことがない」と話した。ただし、リン被告に対する量刑については、軽くすることを求めていた。