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ホーチミン市ビンタイン区22街区にある高級マンション「サイゴンパール(Saigon Pearl)」で2021年12月22日夜に、N・T・V・Aちゃん(当時8歳)が父親の恋人から暴行を受けて死亡した事件で、同市人民裁判所は25日、恋人と父親に有罪判決を下した。
父親の恋人であるグエン・ボー・クイン・チャン被告(女・26歳)は虐待罪で禁固3年、殺人罪で死刑の判決をそれぞれ言い渡された。また、父親のグエン・キム・チュン・タイ被告(男・36歳)は虐待罪で3年、犯罪隠匿罪で5年の計8年の禁固刑となった。
タイ被告は以前、チャン被告と不倫関係にあったが、2020年に妻と離婚。2020年6月からチャン被告とマンションで同棲していた。前妻との間にもうけた子供2人は、長女のAちゃんをタイ被告が、長男(Aちゃんの弟)を前妻がそれぞれ引き取った。タイ被告とチャン被告は、Aちゃんが前妻と会うのを拒み、前妻がAちゃんと最後に会ったのは2020年12月のことだった。マンションの隣人によると、まだ幼いAちゃんは、たくさんの家事をするよう言いつけられ、度々暴言と暴行を受けていたという。
事件当日、チャン被告は午後2時からAちゃんに宿題をさせ、その間に大声で怒鳴りながら蹴ったほか、手足を縛ったりし、直径2.2cm、長さ90cmの木の棒で殴った。その様子を監視カメラで見たタイ被告はチャン被告に電話をかけて暴行をやめるよう言ったが、チャン被告は聞き入れなかった。
その後、Aちゃんが午後6時ごろに嘔吐し、ぐったりして動かなくなったため、チャン被告は仕事中だったタイ被告に電話をかけ、帰宅を求めた。タイ被告は娘に応急処置を施したが、Aちゃんは心肺停止となり、被告2人とマンションの責任者が同区のビンメック病院に救急搬送した。
タイ被告は娘が食べ物をのどに詰まらせたと説明。しかし、Aちゃんの身体の至る所に大きなあざがあったほか、右のこめかみには以前に縫合されて治療済みの約2cmの傷跡があったため、虐待を疑った病院が警察に届け出た。一方のタイ被告は、病院での待機中にアプリを通じて自宅の監視カメラのデータを削除するなど証拠隠滅を図った。
しかし、警察が復元したデータからチャン被告の事件当日の犯行の様子が確認でき、さらにチャン被告だけでなくタイ被告も以前Aちゃんに暴行を加えていたことが判明。被告らは日常的にAちゃんを罵倒し、服を脱がせて棒などで殴ったり、犬と一緒にケージに閉じ込めたりしていた。タイ被告はその時、「ほらワン公、そいつを噛んでやれ」と言っていたことも監視カメラの動画で確認された。
Aちゃんの死因は急性肺水腫。検死結果では、複数の肋骨が折れており、骨折部位や頭部の皮膚下の血腫、軽度の脳浮腫も確認された。裁判官はチャン被告について、「非常に残忍且つ悪質で更生の余地はなく、社会から永久に排除する必要がある」として死刑判決を下した。タイ被告については、死に至らせた事件当日の暴行に参加しなかったため、殺人の罪には問われなかった。
この裁判は世間から非常に注目されており、当日は多くの市民が裁判所に詰めかけた。残忍極まりない犯行の内容が読み上げられると、傍聴していた人々は涙を流しながら、幼い被害者の死を悼んだ。