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在ベトナム・スペイン大使館はこのほど、7月1日から発給が始まったベトナムの新デザインの一般旅券(パスポート)について、所持者の「出生地」が記載されておらず、管轄機関による本人確認が難航しているとして、所持者に対し査証(ビザ)の発給を一時停止すると発表した。
大使館によると、「出生地」の項目はシェンゲン圏26か国のビザ申請・発給において本人確認のための必須情報となっている。
さらに在ベトナム・チェコ大使館も、「新デザインのパスポートは国際民間航空機関(ICAO)の基準を満たしていない」として、使用を認めないと発表した。ただし、所持者に対するビザの発給を一時停止するか否かは明らかにしていない。また、ICAOのいずれの基準を満たしていないかも不明だ。
これに先立ち、在ベトナム・ドイツ大使館と在ホーチミン・ドイツ総領事館も同じ理由でベトナムの新デザインのパスポートの所持者に対するビザの発給を一時停止している。
この問題で、駐ドイツ・ベトナム大使館は、ベトナムとドイツの管轄当局が問題解決に向けた話し合いを進めている間、新デザインのパスポートを所持しているドイツ在住ベトナム人に対しドイツ語による出生地証明書を無料で一時発行する方針を明らかにした。
スペイン、チェコ、ドイツの3か国はいずれもシェンゲン圏に属している。なお、同じくシェンゲン圏に属しているフランスの当局は、新たな通知が出るまでベトナムの新デザインのパスポートを認めており、所持者に対するビザ発給も通常通り行っている。
このトラブルをめぐり、公安省傘下の出入国管理局(A08)の責任者は、「新デザインのパスポートはベトナムの法律とICAOの基準に従ったものであり、(出生地の記載がないことについては)過失ではない」とコメントし、外交を通じて解決し、国民の権利を保護するとの方針を明らかにした。
なお、ICAOのガイダンスによると、パスポートの必須情報には、◇パスポートの種類、◇氏名、◇パスポート番号、◇国籍、◇生年月日、◇性別、◇パスポートの有効期限が含まれる。出生地などのその他の情報は国によって異なり、必須情報としては扱っていないが、ICAOは各国に対し、パスポートへの出生地の記載の有無について慎重を期すよう勧告している。