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動画投稿のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「ティックトック(TikTok)」に投稿された動画がきっかけとなり、13年前に行方不明になった精神病患者の男性が家族と再会を果たした。
動画には、みすぼらしい服装で、ぼさぼさ髪の男性が物乞いをしている様子が映し出されていた。動画を撮影・投稿したのは、東北部地方トゥエンクアン省ソンズオン郡カップティエン村(xa Cap Tien, huyen Son Duong)在住のグエン・ティ・アイン・トゥエットさん(女性)。
物乞いの男性はこの11年間、数週間に1回のペースでトゥエットさん宅を訪れていた。精神病を患っているようだが、乱暴を働かず大人しい男性に同情を覚えたトゥエットさんは男性が来る度に食べ物をあげていた。トゥエットさんは4月中旬、「もしかしたら家族の目に留まるかも」と思い、物乞いの男性を撮影してインターネットに投稿。
それから約1か月後、トゥエットさん宅から約200km離れた東北部地方フート省タインソン郡イエンラン村(xa Yen Lang, huyen Thanh Son)に住むディン・ティ・クオンさん(女性)がこの動画を発見。映っていたのは、13年前に行方が分からなくなった彼女の夫だった。
「手で顔を掻く癖。間違いなく夫だ」。そう確信した彼女は、その日のうちにトゥエットさんに連絡を入れ、夫のディン・バン・フーさんを探す手助けを依頼した。頻繁に村に出没するフーさんだったが、なかなかトゥエットさん宅を訪ねてこなかったため、トゥエットさんは一家総出でフーさんを捜索して、ようやく保護した。
男性を保護したトゥエットさんから「胸に仏様のタトゥーがある」と連絡が入ると、クオンさんは家族と自治体に連絡した後、すぐにソンズオン村を訪れて夫と再会した。フーさんは依然として精神病の症状が見られたが、妻と弟を認識していた。
クオンさんによると、夫婦は子供2人をもうけており、長男は21歳、長女は18歳になる。フーさんは長女が生後7か月の時に精神病を発症し、家の物を破壊したり、子供に危険な行為を働くようになった。そのため、一家は2008年に地元の社会保護センターにフーさんを預けていたが、数か月後に脱走して、それっきり行方不明になっていたという。
フーさんは13年ぶりに自宅に戻って、大きくなった長女と顔を合わせると、「君の親は誰?今何歳ですか?」と尋ねた。まだ覚えていることも多いが、忘れてしまったことも多い。再び親子の絆を取り戻すべく、なんとか父親に心を開いてもらおうと、子供たちも頑張っている。
畑仕事をしながら女手1人で子供2人を育てたクオンさん。その間も夫を探し続けて、13年という長い月日が経ったが、決して諦めることはなかった。「あらゆる手段を試し、色々な場所に行って探し回っても見つからなかったのに、ほんの数十秒の動画のおかげで夫と再会できた。夫が生きていた。それだけで嬉しい」と喜びを語った。