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ハノイ市ホアンキエム区中心部のホアンキエム湖で16日午後、湖に生息する亀を釣り上げた男性が警察に逮捕された。そして、これに関する記事を目にした家族が、5年前に家出したまま連絡が途絶えていたこの男性を迎えに警察署を訪れ、一家は涙の再会を果たすこととなった。
T・H・Hさん(男性・41歳、北中部地方ゲアン省出身)は16日午後、友人と共にホアンキエム湖で魚釣りをしていた。しかし、そこで釣り針に引っ掛かったのは、魚ではなく体重約15kgの亀だった。
大亀を水揚げしている2人を目撃した市民が警察に通報し、友人は逃げ去ったもののHさんは身柄を拘束され、ハンチョン街区(phuong Hang Trong)警察に連行された。
検査の結果、この亀は希少動物ではないことが確認された。警察は検査の結果を踏まえ、大亀をホアンキエム湖に戻すことについて森林警備機関に打診している。Hさんについては「現行規定に従い処分する」と発表した。
こうした中、電子新聞に掲載されたHさんの写真を目にした家族2~3人が17日に同街区警察署を訪れ、一家は正門前で号泣しながら抱き合った。Hさんは大学で経済を専攻し、卒業後にビジネスに着手。しかしこれに失敗し家族に合わせる顔がなくなってしまったため、5年前に家出し連絡が取れなくなっていたという。
なお、ホアンキエム湖の亀はハノイ市民にとって神聖な存在だ。ベトナムが中国の明に支配されていた15世紀、後に黎(レ)朝(1428~1527年、1532~1789年)の初代皇帝となるレ・ロイ(Le Loi=黎利)が、湖の宝剣によって明の駆逐に成功した。平和な日々が続いていたある日のこと、レ・ロイが湖を散歩していると神の使いである大亀が現れ、宝剣を持ち主の竜王に返すように言って、湖の底に持ち帰ったという。この伝説から、湖は「ホアンキエム(Hoan Kiem=還剣)湖」と呼ばれるようになった。