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ハノイ市タインスアン区タインスアンチュン街区(phuong Thanh Xuan Trung)にあるランドン電球・魔法瓶[RAL](Rang Dong Light Source And Vacuum Flask=RALACO)の工場で8月28日に発生した大規模火災に伴う有害物質放出の懸念について、同社が情報を捏造していたことが分かった。
同社は火災発生直後、「2016年以降は液体水銀の使用を停止し、代わりにアマルガム(水銀と他の金属との合金)を使用している」と発表した。
しかし、資源環境省傘下の環境総局による調査の結果、同社はアマルガムより毒性が高い液体水銀を引き続き使用していたことを認めた。
この火災で、液体水銀を使用した蛍光灯48万本、電球形蛍光灯160万個、タングステン白熱電球200万個などが焼失し、同工場から約15.1~27.2kgの水銀が放出されたと見られている。
また、ハノイ市の対応も問題になっている。同市当局は、火災発生時から1週間後の9月5日になってようやく原因や被害、是正方法などに関する会合を開いた。報道陣の同会合への参加も制限されていたという。
こうした中、ハディン街区(phuong Ha Dinh)人民委員会は火災発生直後に、火災現場を中心とする半径500m圏内で栽培された野菜・果物および露天の貯水容器で保管されていた水を処分し、火災によって発生したすすの付着した衣類や家財、壁、植物を洗い流すよう、住民らに資料を配って対策を呼びかけていた。
ハディン街区人民委員会の迅速な対応は専門家から評価されたが、タインスアン区人民委員会は「(ハディン街区人民委員会は)権限外のことをした。誤報を流して市民に不安をもたらした」として、資料を回収させるとともに、これに関わった幹部を戒告処分とした。一方、タインスアン区人民委員会が情報を隠蔽したとして、責任を追及する意見も出ている。
資源環境省によると、今回の有害物質の放出により、同工場の外壁フェンスから半径500m圏内に住む住民が水銀汚染の影響を受けると予想される。これを受けて、影響地域に住む多くの市民は自宅から避難している。
なお、今回の大火災が将来的に水俣病(水銀による中毒性中枢神経系疾患)を引き起こすのではないかと懸念し、是正の徹底を促す声があがっている。